我が愛しのラーメンたちは縮小魔法で鞄の中だ。スーパーまで連れてってくれた前川さん(あの外人の友達)や店員が目を剥いてたけど、そんなに多く買ったかね?

 宇宙船な焼きそばも買ったし、即席麺は色々買ってしまった(業務スーパー大好きだ)。――まあ一人で買って帰る量じゃないな。どうしてそんなにって聞かれたからイギリスの飯が食えないからって答えたら、同じ日本人だからか前川さんが多いに賛同してくれた。味濃いよね、外国料理って。薄味育ちの我々には刺激物ですよ。











 家を出たのが昼の一時で、今は三時くらい。魔法って素敵よね。荷物を置きに階段を上がって部屋に向かう。二階の、家の中でも日が射してて快適な部屋が私の部屋だ。この家は全体的に、スリザリン寮くらいジメジメしてる。でも、私の部屋だけそうじゃないんだよね。除湿魔法でもかけてあるんじゃなかろうか。今度確かめてみよう。


「ただいまー」

「おかえり。手は洗ったか?」

「洗うよー今からー」


 ドタドタと階段を降りて、自分で淹れたらしい紅茶を飲んでるセブに声をかけた。そういや今の時間帯はアフタヌーンティーだね。アレでしょ、いかに仕事をしないようにするか、と頭を捻った結果の産物でしょ、この習慣って。イギリス人がみんな真面目に働いたら、失業者が大量に出るらしい。

 手洗いうがいは日本人として当然の習慣だけど、外国にうがいの習慣はない。国際結婚の女性が、帰宅してうがいしたら外国人の夫に「何ソレ」って聞かれて、夫が知人の歯医者(医者は医者でも確か歯医者だって気がする)まで連れてきて実演させられたって話を聞いたことがあったんだけど、実際こいつらうがいしねぇ。水でだけじゃ不安だから日本でアス○リンゴゾール買って来たぞ私。セブにもさせようかな。


「……何をしているんだ?」


 うがいで「カエルの歌」を歌ってたら、聞きなれない音を変に思ったんだろう、セブが来た。


「うがいだよ。喉の奥にいる雑菌を殺すのさ」

「――どこの習慣だ?」


 私が日本びいきだと知ってるセブは、また日本か? と額に手を当てながら言った。モチのロンですよ。


「ジャパーン」

「またか」

「セブ、呆れることなかれ! うがいは健康に良い習慣だよ! セブもやろう!」

「……どうやるんだ」


 セブは慣れないからだろうけど、喉の奥を開かないで口の中でブクブクいわせちゃってる。難しいのかな、喉の奥開くのって。


「よく分らん」

「喉と食道の境界をカパっと開けるんだよ、そうとしか言いようがないよ!」


 最終的にはセブもうがいを習得した。私ができて自分ができないのは格好悪いと思ったんだろうか。必死になるセブの姿にほのぼのしたんだけど、これを口に出したら恥ずかしがるだろうし止めておいた。


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