チェイサーのエイドリアン・ピューシー、シーカーのテレンス・ヒッグズ、リーダーのマーカス・フリント等々、スリザリンチームは脳みそより筋肉を揃えてる。私はゴリラの壁に囲まれて隠され、上の方にある観客席からも見えないようだ。だって私からも見えないから。一体自分が今、どこを歩いてるのかさえ分からん。

 『スリザリンチームのビーターが一人足りない』。そんなざわめきが観客席を満たした。もちろんスリザリン生は落ち着いたもので平気そうにしてるから、ますます分かったもんじゃないだろう。




 マダム・フーチがいる中央部に着き、やっと筋肉の柵から出た。騒ぎ声は大きくなった。一年生の選手が二人。それも片方はその寮監の娘ときた。贔屓か、贔屓だろう、と噂し合う声が聞こえる。貴様ら、ブラッジャーに打たれたいらしいな。顔を覚えといてやるから首を洗って待ってろ。


「さあ、皆さん、正々堂々戦いましょう」


 フリントに向けて言ってるのは明らかだった。


「よーい、箒に乗って」


 私の箒とハリーのは同じ製品。だが、私をなめてもらっちゃ困る。経験と実績の差というものをとくとご覧に入れようではないか。





 銀の笛が高らかに鳴った。以下、リーによる実況中継。


「アリシア・スピネットにきれいなパス。オリバー・ウッドはよい選手を見つけたものです。去年はまだ補欠でした――ジョンソンにクァッフルが返る、そして――あ、ダメです。レイノ・スネイプの打ったブラッジャーがクァッフルを叩き落としました。スリザリンに渡ります。キャプテンのマーカス・フリントが取って走る――鷲のように舞いあがっております――近寄るチェイサーがスネイプにより弾き返されています。今年の一年には有望株が二人いるようです――フリント、ゴールを決めるか――いや、グリフィンドールのキーパー、ウッドが素晴らしい動きで止めました。ウッドの顔に――ウッドは避けましたが――ブラッジャーが打たれました、スネイプです。これほどの技術がどこで身に着いたのか、是非親御さんに聞いてみたいところであります。クァッフルは再びグリフィンドールへ――あ、あれはグリフィンドールのチェイサー、ケィティ・ベルです。フリントの周りで素晴らしい急降下です。ゴールに向かって飛びます――あいたっ!――これは痛かった。ブラッジャーが後頭部にぶつかりました」


 親御さんに、の下りがなんだか物言いたげだったのは気のせいじゃないよね。それにしても良く舌の回ることだ。リーのこれは才能だよな。



 それから私はブラッジャーを打ちまくり、スリザリンの得点に貢献した。ハリーがヤバいことになってる間はフリントにブラッジャーが当たらないよう四方八方に打ち、時々見上げて溜息を吐いた。この事件のせいでセブは疑われ(怪我も一因だけど)、その疑いは晴れることなく死んでいくんだ。

 死んでから思い出を美化されたってな、と思う。ハリーが我が子に言うことになる台詞は偽善だ。






 百七十対百でスリザリンは負けたが、原作じゃあ六十だったんだから悪かないだろう。

 試合後、アメリアに抱きつかれて押し倒された。


[] | []

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -