５ ハロウィンパーティーを乗り越えれば、十一月。クィディッチの季節だ。ナルシッサさんの送ってくれる食料のおかげで、試合を前にした私の体調は十分に良い。有難うナルシッサさん。神棚作って毎日礼拝しようかな……仏壇っぽくなるから止めよう。 「グリフィンドールの奴らはポッターの下をかけずり回るんじゃないか？ 落ちてきたとき拾ってやれるようにさ」 ドラコが皮肉げに言った。うーん、今回はかけずり回るかもなぁ。箒がシェイクされるし。みんなムンクになると思うよ。 それにしても、ハリーがシーカーになるのは極秘事項じゃないのか、グリフィンドール？ 私がビーターになるのも極秘扱いだけど、同じ『極秘』とは思えない差だよ。公然の秘密ってことかね。グリフィンドールはおおらかってーか大ざっぱなのかね。 「レイノ、頑張ってね」 アメリアが楽しそうに笑った。ワクワクしてるのが、見れば分かる。 「うん。私のテクニックの前ではみんな腰抜けるよ」 「なんだか厭らしいこと言ってるみたいよ、それ」 「そういうつもりで言ったから良いのさ」 突っ込みを入れるパンジーにニヤリと笑えば、肩をすくめて溜息まで吐かれた。ここは『惚れるー！』って言って欲しかった。 「もうそろそろ行かなくちゃ。選手は着替えなきゃいけないし、ウォーミングアップもしたいしね」 私はナルシッサさんからのマナを食べ終え、口元を拭った。いってらっしゃいと手を振られ、周囲のスリザリン生からも暖かい目を向けられる。本当に身内には優しいよねスリザリン。家族みたいで好きだよ。 「――レイノ」 歩き出そうとして、呼び止められる。 「どーしたの？」 教師席から離れて、セブがこっちに来てた。一体どうしたのやら珍しい。公私混同しないセブだし、こういう場所ではあまり話したりしないのに。テテっと近寄れば、セブが……いつも他人の前で浮かべてるのとは違った、家でのように微笑んだ。周囲は騒然。そりゃ当然。見慣れなけりゃ衝撃的だから。 「頑張って来い。見に行くからな」 そう言って頭を撫でられた。ドラコが『スネイプ教授……あんな笑い方できたのか』と呟いてるのが聞こえた。アメリアは『親子なのねー』と納得した風だ。パンジーは固まってる。ついでにクラッブとゴイルはこちらを見もせずに飯を貪ってた。 「――うん！」 超頑張っちゃうよ。セブが見に来るって言うから。 刺すような視線が痛くて元を探せば、ハリーが妙にギラギラした目でセブを睨んでた。黒ハリーなのかな。 ※マナについては2009,10,27の雑記に説明有 |