朝食の席で、ハリーは箒を受け取っていた。公然の秘密にしたかったのかね? ミネルバばーちゃんの意図が掴めん。秘密にしたいならこういう場所で渡すのは間違いだろう。




 ドラコが憎々しげに肉を引きちぎっていた。生え際が高速で後退していきそうな勢いだ。大歓迎☆


「ポッターめ、ポッターめ……!」


 自分が思い出し玉を投げたからハリーが曲芸したことを分かってるからだろう、ドラコは皿とフォークをカチャカチャといわせる。


「ドラコ。でも私も、ネビルが暴走したおかげでビーターになるんだよ? お互いさまさ、これでグリフィンドールは最悪の敵を自ら作ってしまったんだから」


 私がビーターになるというのは本当に――本当に内密にされている。おおかたセブが教師陣に緘口令敷いたんだろう。私を見て内緒話するような奴はいない。スリザリンの一年と先輩達は話を聞いて喜んでいるらしいけど、外に噂が漏れたなんていうことはこの寮に限って全くない。お外が嫌いなスリザリンだから。


「レイノならあの事件がなくっても推されてたわ、きっと。だってレイノ上手だもの」


 アメリアが我がことのように自慢そうに言った。そう言ってくれてうれしいよアメリア。君ってば、友に持つと本当に素敵なやつだよな。

 昨日飛行訓練があったんだが、まあ飛び慣れてる私なら身についているのが当然の技術が――初級者にあるはずもなく。あっちヘフラフラ、こっちへヨタヨタ、な生徒を放って遊んでいたら、マダム・フーチにどこでそんな飛行法を身につけたんだと訊ねられたりした。前世です、とか答えたら電波系と思われるだろうな。半分前世だろ? あれって。


「はあ……それにしても、ニンバス2000……素晴らしかった」


 アメリアが部屋に置いたままの箒に思いを馳せた。あれは一応私の箒だけど、私が金を払ったわけじゃないし乗りたいと言うなら乗れば良い。


「乗りたいんだったら乗る? ちょうど一時間目は授業がないでしょ」


 ドラコも乗りたいと顔に書いてたから、もちろんドラコとパンジーも誘った。クラッブとゴイルはいてもいなくても空気だと思います。箒より食い気に興味津津の胃袋ブラックホール二人を置いて、一度寮に戻り、私たちは箒を持って人気のない城の影に向かった。





 来年には、ドラコもチームに参加できるだろう。そこらへんのガキより才能があるし――唯一の弱点といえば、肝っ玉が小さいことか?


 週三度の練習が面倒だけど、ドラコが入ると言うならしても良いかもしれない。


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