「ほら、レイノ! 行くぞ!」

「いやだー! 絶対フィルチに見つかってジ・エンドだよー!」


 ドラコに腕を引っ張られ、でも私は扉にむしゃぶりついた。パンジーが呆れたように言う。


「行かなきゃ、スリザリンは腰ぬけだって言われるわよ?」

「じゃあ、私個人が腰ぬけということでよろしいでしょうか」

「馬鹿か」


 真面目に言ったのに扱き下ろされた。七割本気だったんだよ? ドラちゃんのいけずっ!


「……一体、何をしている?」


 背中の方向から新しく加わった声は、私の待ち望んだものだった。足音しなかったよ、セブ?


「きょ、教授!」

「これは――」


 ドラコとパンジーがどもる。ついでにいえば、アメリアはとっても健康的に、十時の鐘と共に就寝した。


「生徒の夜間の外出は認められていない。Mr.マルフォイ、Miss.パーキンソン。老け薬の効果的使用法についてレポート六十センチ。レイノは――」


 セブが悩むように眉根を寄せた。どう見ても私は被害者だ。だがパンジーが口を開いた。


「教授、レイノは悪くないんです」

「ポッターたちとこれからトロフィー室で決闘するつもりで、レイノに介添え人を頼んだんです」


 頼んでないじゃん。事後承諾って言葉を知っているかい、ドラコ。言ったのはパンジーだったけど。でも庇ってくれて嬉しいよ。実はセブを呼んだのは私だって言ったら怒るかな……。


「それでは、レイノ。二人のレポートを手伝ってやれ」

「はい」


 期限は三日後だ、遅れるなよ、と言い残し、セブはトロフィー室を見に行くためだろう、踵を返した。


「……寝ようか」

「ああ」


 私が聞けば、ドラコがちょっと情けない顔で頷いてきた。そんなに行きたかったのかね、決闘。男という生き物は分らん。


「そうね。ねえレイノ、今日あなたの部屋に泊まって良い?」

「ベットないから共有になるよ?」

「気にしないわ」


 もう同室のみんなは寝ちゃってるし、帰ってきた音で起こしたくないのよね、と言うパンジーと一緒に女子寮の階段に向かう。ドラコと就寝の挨拶を交わして、私らは部屋の扉を閉めた。


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