夕食を取りに連れだって大広間に行く。思うんだが、スリザリンってみんな仲良しだよね。ドラコが人型したブラックホール二人を連れてハリーのところへ行ってしまった。止めるべきか否や。


「ポッター、地上最後の食事かい? マグルのところに帰る汽車にはいつ乗るんだい?」


 言葉と顔つきが一致してないよドラコ。今にも呪いをかけそうな顔してるよドラコ。パンジーとかアメリアとか、誰かドラコを止めてあげ――駄目だわ。みんながグリフィンドールに向ける目が冷たい。こうやって確執は深まっていくんだね、ああ、面倒だ……前はヴォルディーと一緒だったから、こういう苦労とは無縁でいられたんだな。あいつどの寮からも人気あったし。


「地上ではやけに元気だね。小さなお友達もいるしね」


 ハリーは鼻で笑った。あれ、黒いよハリー。見ている私に気付いたのか、ハリーはちらりと私を見やった。手を振られる。いや、両隣が怖いから返事はできないわ……。あれ? 何で私引きずられてるの? スリザリン席は向こうだよ、こっちはグリフィンドール。


「あ、アメリア? パンジー?」

「レイノはスリザリンのものだって分からせないと。ポッターめ、レイノに色目つかって!」


 パンジーが言った。色目使ってたというより、親愛しか感じなかったんだけどね? クィディッチでよりも先に、友人と「警官と宇宙人」ごっこをするとは思いもよらんかった。アメリアさん頷かないでください。


「僕一人でいつだって相手になろうじゃないか。御所望なら今夜だって良い魔法使いの決闘だ。杖だけだ――相手には触れない。どうしたんだい? 魔法使いの決闘なんて聞いたこともないんじゃないの?」


 トロフィー室で(フィルチと)こんにちは事件か。


「もちろあるさ。僕が介添え人をする。お前のは誰だい?」


 ロンがハリーを無視して答えた。こら、決めるのはハリーであってあんたじゃないんだよ、ロン。


「レイノよ」


 パンジーが答えてしまった。涙がこぼれないように、上を向いていようか、それともさっさと流しきってしまうために下を向いていようか。どっちにしろ涙目に違いはない。巻き込まれる人生に乾杯! 祝い事なんかじゃないんだけどね!


「パンジー?」

「レイノよ。レイノは学年一の魔女なんだから。スリザリンの誇りよ」


 パンジー、まだ私らは入学して二週間目のはずなんですがね。一度卒業してるし、学年内とは言わず学校内で一番だろうと自負しておりますともよ? でもさ、でもさぁっ!

 私の腕をグイっと上に引っ張って、パンジーは私を強調した。痛いよう。


「どこだかの寮の目立ちたがりなんかとは違うんだから」


 彼女がちらりと見た方向に、ハー子がいた。アメリア、助けて。空気が痛い。居心地悪い。






 助けはなかった。






「じゃあ、真夜中にトロフィー室でしよう。いつも鍵が開いてるんでね」


 ドラコが言って、私も再び引きずられた。私、まるでスリザリン生徒のおもちゃになった気分だよ。宥めきれないからお母さん役じゃないし、慕われる(別の意味で慕われてはいるけど)先輩肌でもなし。おもちゃが一番しっくりくるなんて、ちょっと泣きそうなのは秘密だ。


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