魔法薬学は地下の湿っぽい、セブの性格みたいな教室での授業だ。ここは以前もこんな風に鬱々とした部屋だったし、セブのせいじゃないとは分かっている。分かっているが、どうにかならんのかと思うのだよワトソン君。

 私としてはグリフィンドールだろうがスリザリンだろうがどうでも良いから差別意識はないんだけど、双方の寮はまだ一年の初めだというのにもういがみ合っている。早いなあ。








「冬場はここに来たくないね。凍えて死ぬかも」


 私がそう言えば、他のスリザリン生も頷いた。いくら寮監の授業だとはいえ、寒かったらやる気なんて出ない。ついでに実際でなかったから、冬場には得点数が下がったりした。冬眠したいと思ったのは一度や二度の話じゃない。

 授業を教える鐘の音が響き、数瞬で扉がけたたましく開いた。セブの登場だ。ああ、これから萌え場面が沢山見られるんだね、私は幸せ者だよ!









 セブはアルファベット順に出席を取り、ハリーの名前の前でちょっと止まった。猫なで声! 猫なで声がくるよ!


「ああ、ふむ」


 セブはニヤリと笑んだ。見惚れている私をドラコが奇妙な物を見る目で見てきた。何だ、文句あっか?


「ハリー・ポッター。我らが新しい――スターだね」


 キタ――――――!! 名ゼリフ! やったね、録音魔法をこっそり使ってたんですよ奥様!




 出席は私を過ぎ、ザビニで終わった。威圧するような雰囲気を醸すセブに、みんな息を飲んで黙っている。私の目にはその威圧感さえ好ましいとしか映らんがねはっはっは!


「このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ」


 教卓に腕を突き、説教するセブは素敵だと思います。


「このクラスでは杖を振りまわすようなバカげたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかも知れん。フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち上る湯気、人の血管をはいめぐる液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。私が教えるのは、名声を瓶詰にし、栄光を醸造し、死にさえふたをする方法だ――ただし、私がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君がまだましであればの話だが」


 一度ゆっくり目を閉じ、また開くと、セブはハリーを呼ばった。


「ポッター!」


 嬉しそうだ。絶対答えられないと分かってるからだろうな、セブってばい・ん・け・ん☆






「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」


 生ける屍の水薬だよね。ハーマイオニーが答えたそうだけど、ハリーは顔を赤くして分かりませんって答えてら。ハーマイオニーはレイブンクローに行けば問題なかったと思うんだが、どうなのかね?


「チッチッチ――有名なだけではどうにもならんらしい」


 私以外のスリザリン組がクスクスと笑っている。こら、デコリーンちゃん! 貴方答え知ってるわけじゃないんだから、人のこと笑えないのよ!


「ポッター、もう一つ聞こう。ベゾアール石を見つけて来いと言われたら、どこを探す?」


 山羊さんの臓腑を切り捌いたら出てくるよ。――胃だよ、胃。口パクしてみたけど、こっちを全く見てこなかったから無意味に終わった。


「クラスに来る前に教科書を開いてみようとは思わなかったわけだな、ポッター」


 ハリーが答えられないのを鼻で笑って、セブは満足そうに唇の端を釣り上げる。


「ポッター、モンクスフードとウルフスベーンとの違いは何だ?」


 同じもの。別名アコナイト、トリカブトのこと。隠さないドラコたちの笑い声に教室がさざめく。ついでにハーマイオニーの掲げた手がプルプル震えてた。


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