車内に声が響いた。


「あと五分でホグワーツに到着します。荷物は別に学校に届けますので、車内に置いて行って下さい」


 そういえば、私の毛玉はどうなった。羽毛は向こうに来られなかったから、二十年ぶりに会うことになる。忘れててごめんね羽毛! 荷物のカートに吊るしっ放しで全然相手してやれなかったもんね! 寮に着いたら可愛がっちゃうよ、ウザいくらい。

 そういえばあっちでの貯金はどうなったんだろう、と思ってポケットに手を突っ込んだら鍵があった。ワオ、最高だね!

 青白い顔した二人と一緒に列車を降りる。闇の迫った空は紫を越して黒く、星が瞬いている。空気が澄んでいるからこその美しい夜空はいつみても感動するよ。


「イッチ年生! イッチ年生はこっち! ハリー、元気か?」


 ランプを掲げたハグリッドがゆらりと現れた。暗いから、ハグリッドの巨体が陽炎のように揺らいでいる。お化けだなまるで。

 山道を歩き、ハグリッドに続く。この道、ただの十一歳にはその辺のお化け屋敷より怖いよ。私は二度目だからそんなに怖くないけどね。

 角を曲がって見えたホグワーツの荘厳な佇まいに歓声が上がる。でかいばかりで不便だというのが私の感想だ。


「四人ずつボートに乗って!」


 ハリー達三人組とネビルが乗って四人だから、私は名も知らぬ誰だかと同乗した。みんなやはり、私より十五センチはでかかった。巨人に囲まれているようだよ。周りからは子供が何で? みたいな目で見られたけど気にしない。前もそうだった。

 みんなが頭を下げる中、私は下げる必要がないくらい低いのでそのまま崖の下をくぐった。ジメジメとした船着場から降り、ハグリッド先導の元石段を登る。ネビルはトレバーを回収できたようだ。良かったねネビル。お祖母ちゃんは嬉しいよ。

 ハグリッドが扉をガンガンガン、と三度叩いた。また長い、波乱に満ちた七年間の始まりだ!


[] | []

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -