陽菜ちゃんと正輝君は魔法使いというより魔術師なんだとか。違いってどこにあるの、なにそれ魔術師って美味しいの?

 そんな質問をしてみたら、笑いながら説明してくれた。曰く、地鎮祭とか神楽とかの神官的な仕事も含むのが魔術なんだとか。――魔法は神に祈らないもんねぇ。

 他には魔法の在り方の違いとかいろいろ説明されたけどそこらへんは省略しよう。詳しく説明するの面倒だもん。


「私も杖なしで魔法使えるけど――魔力量に頼った力技だからねぇ。教えてくれると嬉しい」

「私たちで良ければ教えるわ」

「ホント?! 有難う陽菜ちゃん、愛してる!!」

「うふふふふ」

「ははははは」

「姉さんも鈴緒さんもキショイ」

「お黙り明良」

「これはだな、友情を確かめ合う神聖な作業なのだよ」


 明良がむかつくこと言ってきたから、奴の足の小指を押しつぶした。素敵な悲鳴が上がる。


「良い仕事してますね」

「お代官様ほどでは」


 正輝君が呆れたとばかりに額に手を当てているのを横目に明良をいじる。キショイといった罰を受けてもらおうか!


「姉さんが二人に増えた……!」

「諦めろ明良」

「義兄さんひどい!」












 そんなこんなで騒いでたらに時間が過ぎてた。そろそろ家に帰らないとヤバいかもしんないなぁ、セブより先に帰っとかないといらない心配かけるだろうし。


「そろそろ私帰らなくちゃ」

「あ、そうなの? また来てよ鈴緒」

「うん、また来る。その時は電話するからきっと」

「夏の間のお土産はスイカバーでよろしく」

「ガッテン」


 明良と言葉を交わして、陽菜ちゃんと正輝君を振り返る。


「ということで私帰るね」


 陽菜ちゃんが電話横のメモをちぎって何か書きとめる。もしかしてそれは――


「これ、私たちの連絡先だからいつでも連絡してね? せっかくお友達になったんだもの」

「いつでも遊びに来てくれ」

「ひ、陽菜ちゃん……正輝君……」


 感動で涙が出そう。――私は本来の三十代にしては精神年齢が幼すぎるし社会経験もない。ヴォルディーのとこで遊び暮らしてたから。でもそんな私でも良いって言って、同等のお付き合いをしましょうって連絡先を教えてくれる二人に嬉し涙が出る。


「うん、うん。有難う。家に帰ったらすぐ羽毛を送るよ」


 私の梟の名前が羽毛だってことはもう言ってある。触り心地抜群だから、絶対にみんなが虜になるねと自慢した。


「楽しみにしてるわね」

「気をつけて帰ろよ」

「うん。じゃーねー三人とも。今度来る時にはもうちょっとイギリスっぽいのをお土産に持ってくるよ」


 そう言って別れて家に帰れば、そこには黒髪の――


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