黒髪に黒い瞳の私は、ちょっと目鼻立ちがくっきりしていることを除けば日本人と大差ない。前世が影響してるんだと思うんだけどどうなんだか。


 イギリスは、制服の発祥地だからなんだろうけど学校別に個性的な制服がある。それはホグワーツにも言えることだ。でも、桜花魔術屋敷は……


「着慣れないです」


 前世だって今生だって洋服に慣れてきたのに、よりにもよって外人になってから和装か、そうか……。洒落じゃないからね?


「慣れるまで着りゃあ良い」

「そうですよね」


 花園先生――じゃなかった、尺太郎お義父さんが言うのももっともなんだけど、これに慣れるとはどうも思えない。着物は確か、ちょっと下腹が出てる方が粋に見えるって聞いたことがあるような、いや、あれは男の場合か。


「初めてできた娘の入学式だ、私も出席せんとな」


 私に離婚した(実家に帰られた)奥さんが置いて行ったという着物を着せて、満足そうに頷いてる。何で逃げられたんだろうか。聞いちゃ駄目かな。


「お義父さん、お義父さんって屋敷の主だから、開催者側で出なくちゃ駄目なんじゃないの?」

「それくらい別にどうでも良いのじゃ。塾長挨拶なんぞを聞きたがる奴がいるとは思えん」

「良い、のかなぁ」


 あんまり良くない気がする。まだ見ぬ副塾長先生や、その他の先生方ごめんなさい。今のうちに謝っておこう。







 副塾長だというカミナリ親父そっくりな麦山(バクザンと読むらしい。苗字?)先生とか、資金面でここを支援してる三條院さんとかが弁舌を奮っていかにもな偉そうなことを言っている中、塾長の席だけがぽっかりと空いていた。お義父さん……。


「えー、次は塾長あいさつ、でしたが飛ばして、塾歌斉唱」




飛 ば し た !





 平気で飛ばしたよこの人たち! 良いのか、こんなので良いのか?! トップはお義父さんでしょ?


「さんはい――」


 塾歌はまあ、そこらへんにある小学校の校歌とそう変わらんかった。

 周りは皆少等部からの持ち上がりな中私だけが外部生だからだろう、周りの目の刺さること刺さること。こんなに注目されたのレイノちゃん初めてっ☆……疲れるわぁ。

 先に座る席が指定されてたし、私と一緒に座ってるこの子たちと同窓になるんだろう。うーむ、外国で慣れると日本人が本当に幼く見えるよ。


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