ちょっと迷いはしたが、目的の公園にはだいたいまっすぐ来れたと思う。うんうん私凄ーいっ☆


「わあ、リスだっ!」


 イギリスというか、ヨーロッパはこういうところが素敵だ。野生動物が身近なのだ。私らの住む工場街とかでもない限り、朝目覚めたら窓際にリスとかがいて、何かくれないか待ってたりするのだ。ピーター・ラビットはそうやって生まれたんだろうな。


「こけるなよー」


 いつも動き辛い服を着ているためか、セブの動きはぎこちない。ぴったりと体に合った服を着慣れないからだろう。


「ほらっ! ほらレイ! 可愛いよ!」


 セブの肩には体長十センチくらいのリスが立っていて、鼻をヒクヒク動かしている。ふっふっふ、セブは私が毎日風呂に入れてるからな、清潔なんだぞ。石鹸はもちろん私の手作り! ちょっと危険な薬品使うからセブには手伝わせられないけどね!


「ああ、可愛いなぁ……」


 セブが☆


「レイも来なよ、ねっ?」


 一応おやつとしてチーズとパンを失敬してきてるから、餌付けできんことはない――私の分を餌にすれば良いかな?


「ほらセブ、これをあげたら喜ぶよ」


 パンを千切り、セブに上げる。喜んでセブは餌付けしだした。カメラ持ってくりゃ良かった。これはアレか? 眼底に焼き付けろと? それとも後でカメラに念写?


「もうないの?」

「これ以上あげたら、セブのおやつがなくなっちゃうよ」

「そっかぁ……ねえレイ、僕お腹空いた」

「はいよ」


 しょんぼりしたセブだが、チーズ齧ったらまた元気になった。単純だな、この年齢の子って。








「そろそろ帰るかね」


 セブと広場を転げまわって遊んでいると、いつの間にやら日は斜めに傾いていた。私らの足でだと帰りつくまで時間がかかるから、さっさと帰るに越したことはない。


「ね、レイ! また来ようね!」

「うん、もちろん」


 いやいやセブ。あんたは特に九歳から十歳位からはここに通うことになるよ。そん時は私どうしようか――後で考えよう。


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