1 糸目の兄ちゃんに転生させてもらって、私はハリポタワールドにきた。でも、でもさぁ。 「レイ?」 「ああ、セブ。どうしたの」 父親であるトビアスは将来のセブ像に似てて、鉤鼻にちょっと惚れそうだ。だけどドメスティックバイオレンスなもんだからすぐに萎える。私はお母さんの、セブはお父さんのお下がりを着ていた。だぼだぼだ。魔法でサイズ合わせしてくれたら良いのに。あー、トビアスが嫌がるか。 「ここ、いたくない」 セブは四歳。私も四歳。ついでに私の精神年齢は二十三……セブに萌えてますけどなにか? 「じゃあお外に行こう。その恰好じゃ目立つから、これ着て」 魔法関係の本はトビアスの目につかないところに仕舞われているかと思えば、予想外に堂々と置かれていた。私はそれを読んで、少なくとも初級の魔術はマスターしている。チート舐めんな。その中には縮小魔法とかもあるわけで――何枚かトビアスの服を失敬して縮めてあるのだ。 「うん。レイ、これ、どうしたの?」 「気にしちゃダメ。さあ、行こう?」 珍しくサイズの合った服にセブが目を丸くしているのを悲しく思った。これって、ネグレクトっていうんだよね、と。両親にそのつもりがあるのかは知らないが、これは完全な児童虐待だ。 「どこ行く?」 「レイの行きたいとこ」 か、可愛いこと言いやがって! 頭のてっぺんから撫でまわしたい、抱いてあやしたい、うおお俺は今っ! 萌えているー!……元ネタなんだったっけ。ラムネス? スピナーズ・エンドの空気は汚い。工場街だし、光化学スモッグ注意報出してもよさそうな気がする。労働者は汚いし臭いし、はっきり言ってセブを彼らと関わらせたくないって言うのが本音だ。 「ちょっと歩いたら公園があるはずだからそこに行こう」 「うん。――どうして知ってるの?」 「私の知らないことはないのだよ、セブ坊や」 原作知識だからねー。リリーとペチュニアが遊んでるだろう公園ってか広場があるはずだ。どっかに。……迷う気がしてきた。 「ふーん、レイはすごいね」 そう言うセブは可愛いねっ☆ |