過信は禁物 「死ね、リドル!」 紙飛行機に魔法かけて、リドルに突撃。机に肘付いてるリドルの後頭部に直撃―― 「はいはい」 リドルは振り返りもせず飛行機を叩き落とした。 「ああ! ハリー七号が!」 「邪魔だよ鈴緒」 ハリー一号から六号はリドルの前に散って行った……そして七号もこの今、散ってしまった……ああ。 「七号、七号――!」 七号は今までの中でも最高傑作といえた。それなのに、リドルに潰された……! ああ、この悲しみをどこで解消すれば良いんだ? 「鈴緒、君、レポート終わったの? 遊んでたら終わらないよ」 魔法薬学のレポートの期限が明日で、変身術が明後日だ。学年が上がれば上がるほど難しくなっていくレポートにみんな追われてる。リドルもしかりだ。 「終わってるよ。てか、宿題を言い渡された日にやった」 「は? なんでそんな早く終わったの」 「予習は大事だよってことだよはっはっは」 大学受験も後半になれば、だんだんと問題の意図――何を答えてほしくて問われているのか分かるようになってくる。それは経験と精神の成長によるものが大きく、つまり私は生まれながらに『成熟した精神』という大きなハンデをもらっていたのだ。だが年齢を重ねればだんだんとそのハンデの差は埋まってくる。なら、どうするか? 努力しかない。 「負けてられないからねぇ」 それはきっと、秘密の部屋を見つけるために走り回っているからだろう。リドルは私が最近図書館に通ってることを知らない。だってほら、その『他のことに忙しくしてる』奴に負けたりしたらセブに怒られるじゃないか。 「負けないよ」 リドルが悔しそうにした。 チートという貰いものに頼ってたらいつか自滅するだろう。精神の成熟度だって、年をとれば差が埋まる。一回死んで、また生き返ったからこそ、過信なんてしたらいけないって理解した。 「まあ、お互い頑張れ」 「何それ」 私はハリー七号を拾い上げた。ハリー七号はへしゃげてしまって、もう使いもんにならんかった。 |