死にぞこない


 ある時俺は、鈴緒に訊ねた。あいつが蘇ってすぐのことだと記憶している。





 俺に死ぬなという癖して、お前は簡単に死んでくれる。今度の死は、俺を庇ってのことじゃないか。


「記憶にねーなー。そういえばそうだっけ? まあ死んでも死なんじゃないか」


 茶化しよって、話を逸らすな。


「うわーん、怒られた! 心傷付いたかもしれない。嘘だけど。ジョークの通じない奴だな」


 そのどこがジョークだ。センスを磨いて来い! じゃなくてだな!


「ヴォルディーの単純馬鹿ー。あのだな、すぐぷっつんする子は禿げるの早いんだぞ! はっはっは、ハゲー。まだ若いのに可哀想に、生え際が後退しちゃったんです……そんな時はお任せ、悩み、無用、リ○ブ、にじゅういち☆ デコ広いキャラはマルフォイ一家だけで足りてるからいらないよ。どうせ将来的にはハゲキャラとして被るんだから、今のうちにフサフサキャラとして輝いてなくっちゃね!」


 このくそガキ……同い年のはずだがこのガキっぽさは何だ? 怒りに任せてクルーシオを放っても責められないだろう、誰も。いっそ死の呪文でも唱えてしまおうか。


「うわあ、なんて奴だ。力でごり押しするのは格好悪いよ。でももしもの時はアブラカタブラのデコで反射実験するから大丈夫だよ」


 何で額で反射するんだ、魔法が! それにアブラクサスを何でアブラカタブラと呼んでいるんだ! あいつは今任務中だ、馬鹿!


「えー。じゃあオリオンパワーで何とか!」


 ……全く、この女はいつになったら落ち着きを持つというのか。オリオンパワーって何だ。


「な、何よ? 急に真面目ぶっちゃって」


 言え、さっさと。





















「仕方ないなあ。ヴォルディーってばせっかちだな☆ まあそこが可愛いんだけど」


 可愛いと言われてこれほど不快感を覚えるとは思いもよらなかったぞ。鳥肌が立った。


「私はチートなのですよ。チートチート。ゲームの最強設定プログラムみたいな。だから死なないのだ!」


 良く分らん。そんな人間がいてたまる――目の前にいたな。


「はっはっは! 悩め、青少年よ! 青い春は悩みと共に。ヴォルディー君ファイト☆」


 何だその、ブルースプリングというのは。青い温泉?


「私にもちゃあんと、お迎えが来る時には来るさ。きっとね」












 俺より先に死にそうにないが、貴様もいつかは死ぬのだろうな。

 地獄の入口で待っていてやる。死んでも一緒にいてやるから、そんな目をするんじゃない。


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