月の子


 何度も死に、何度も甦る。私は不死鳥というよりはアレだ。モンデンキント。

 死ぬ度に名を変え、再び世界に飛び込む。繰り返す日々はそれでも楽しくて、だから無茶をしてしまうことがある。






 ある時、ヴォルディーに言われた。



「お前は俺に死ぬなという癖して、簡単に死ぬんだな」



 そう言われればそうかもしれん。でも私は死んでも死なないんだけど。


「そういうことを言ってるんじゃない。茶化すな……分かっているだろうが!」


 とぼけたら怒られた。ヴォルディーってば短気だ。ジョークも分からんのか。


「そのどこがジョークなのか教えて欲しい位だがな!!」


 ヴォルディーの単純馬鹿ー、すぐぷっつんくる人は禿げやすいんだぞ! 嗚呼、若い身空で生え際後退、なんて悲劇! デコリーンはマルフォイ一家だけでお腹一杯だよ。


「さっさと言え……。俺は短気らしいからな、誤って死の呪文を唱えてしまうやもしれん」


 なんて奴だ。アブラカタブラに盾になってもらわなくっちゃ。アブたーん!!


「アブラクサスには仕事を任せている」


 じゃあオリオンに頼もう。













「――鈴緒」


 え、何よ、子供に言い聞かせるみたいに。


「鈴緒、言え」











 仕方ないなぁ、ヴォルディーってば知りたがりなんだから☆





















 私はズルっこいんだよ。ズルで、かき回したがりなんだ。だから、死なないんだよ。


「抽象的に過ぎる」


 はっはっは、後は自分で考えたまえヴォルディー君よ。

 こんな私だが、お迎えが来るときには来るんだろうからね。







「鈴緒、お前は俺の後に死ね。待っていてやる」


 逝き先はヘブンしゃなくてヘルな気がするよヴォルディー。


[] | []

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -