舞台の裏側で


「え? 先生がクィレルを倒したんじゃなかったんですか?」


 僕はダンブルドアに何があったか詳しく話した。悪魔の罠のこと、鍵のこと、チェスのこと……そしてみぞの鏡の間にはどうしてかレイノがいて縛られていたこと。


「わしが着いたのはMiss.スネイプがクィレル先生の灰を消した所じゃった。じゃからハリー、お主の言う『助けてくれた人』はMiss.スネイプのことじゃよ」


 なんという呪文が聞こえたのかね? と聞かれ、ステュなんとかだったと答えた。あれはレイノだったの?――そう言われてみると先生の声にしては若くて高かった。あれはレイノの声だったのか……。


「それならきっと『ステューピファイ』じゃろう」


 そうだ、そういえばそんな風に聞こえた。頷くと、先生は悲しそうに微笑んだ。


「クィレル先生はお主に触れんかった。そうじゃな? そして助けを求めた……Miss.スネイプはきっと、クィレル先生が苦しんで助けを求めているのを聞いて、せめて死ぬまで苦しまないで良いようにと失神の呪文をかけたのじゃな」


 優しい子じゃ、と先生が言った。レイノ、君って本当に優しいんだね……どうしてスリザリンに入ったのか分からないくらい。






「自らを拘束した敵にもかかわらず、死の恐怖を前にし助けを求めた者に、救いを与えようとした――その慈愛の心を称え、二十点を与えよう」


 ジジイ、遂にもうろくしたか。なんだその『慈愛の心』って。どんな聖人だよ私は。汝の敵を愛せよ、なんて博愛精神なんて持ってないっての。

 ドラコやアメリアに押し倒され、雪崩のよーに私の上にスリザリン生が重なってった。苦しい…………これは死ぬる……息が出来ないよ……ああ、パトラッシュ……!

 真っ青な顔した私が医務室に連れてかれたのはそれから五分後のことだった。パンジーの救出がもう少し遅れてたら私、また一回死ぬところだったよ。私を姫抱きしようとしたドラコがアメリアにグーパンチで殴り飛ばされてるのを見て、アメリアさん止めて差し上げなさい、と言いたかった。言いたかったけど、我が身の方が切羽詰まってたから何も言えなかった。パンジー、私を医務室に連れて行ってくれて有難う。君の優しさは忘れないよ。


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