11 心労と仲良くなれる勉強会が始まって一週間が過ぎました。この二人、実はとっても仲が良いんじゃなかろうか。 「貴女こんなことも分らないの? 頭の中身が足りないのかしら? それとも人類じゃなくてただの猿だったのかしら?」 「あんたこそその減らず口さっさと閉じたら? あんたって存在のせいで私の勉強が滞ってるんだけどどうしてくれるのよ」 「あら? 人のせいにしないでくれないかしら? 貴女のスピードが遅いのは今に始まったことじゃないわ?」 等々。私の集中をかき乱してくれる二人に一言送りたい。黙ってくれ、と。でも私チキンだから。ただでさえ女の子には甘い自覚あるのに、二人ともこんな性格だもんだから更に口を挟みにくい。私、将来はもっと可愛くて優しい子と仲良くなるんだ、絶対。そうだなぁ、たとえば某死神漫画の織姫ちゃんみたいな美少女で、胸がドドイーンって感じで、疲れて帰ってきた私に『お帰りなさい、お風呂にする? ご飯にする? それともあ・た・し?』とか言ってくれそうな。――アレ? どこかおかしい気がするけど、それがどこなのかが分らん。 閑話休題して二人の仲だけど、二人とも喧嘩友達っぽくないか? 口調の端々に気安さを感じる。他人行儀だった初めとは違って刺が取れたから、二人なりの関係を築いた――のかもしれん。 「ああもう、あんたのせいでこれが分んない! 本当に嫌な奴!」 「……集中できてないせいだと思うよ?」 「まあ? 貴女こんな程度も分らないの? おつむのレベルも知れるってものね?」 「二人とも成績はどっこいどっこいじゃなかったか?」 「馬鹿言わないでよね、これはあんたのせいであって私のせいじゃないわ! ちょっと黙っててちょうだい、私集中したいの!」 「まあ私に責任をなすり付ける気かしら? 貴女が騒がなければ私も集中できたのに?」 「集中をかき乱してたのは二人ともお互い様だと」 私の突っ込みは総無視された。女の子って怖い。 でも、うん。良いことじゃないか。スリザリン至上主義の子がハッフルパフの生徒と喧嘩友達ってかライバルになって、互いに切磋琢磨する。素晴らしい。これが懸け橋になって将来ハッフルパルがスリザリンの味方になってくれればもっと良い。 秋も暮れ、冬の足音が扉の前に来ていた。そして冬がノックしようと腕を上げ―― |