レイノ・ホグワーツについて全く情報の得られないまま、冬を迎え、クリスマス休暇が過ぎた。もう探すのはとっくに諦めてて、私はリドルンたちに追いつかれたりしないように勉強中なのだ。

 本を閉じてため息を吐いた。なんだか疲れた。最近リドルの動きが怪しいし――っていうか、絶対あれ探してるでしょ、秘密の部屋。アブラカタブラとかと怪しげな行動共にしてるの、疑えって言ってるようなもんでしょ……。一人だし、寂しいし、これじゃあセブの家でお留守番してるのとどう違うってのさ。




「暇だ、超暇だ……」


 ホークラックスの作り方を聞きだしたことも知ってるし、マートルを殺して――ハグリッドに責任をなすり付けるだろうってことも知ってる。でも、止めない。それが歴史だから、なんていうつもりはない。それはただの逃げ口上だから。

 帰ろう、そう考えて本を棚に収めに立った。と、ドタバタと足音が近づいてきて私を追い越してった。少しずんぐりとして丸い少女で、泣きながら本棚の間に逃げ込む。ちょうど私が本を持ってきた棚だ。なんか、わざわざ見に行くみたいで嫌だなぁ。


「グス……どうせ、どうせ私のことなんて皆嫌いなのよっ……」


 何でこう、イベントに遭遇しちゃうんだろうなぁ?! マートルだよね、この子マートルだよねぇ?!

 奥で愚図るマートルは正直言って、見るからに性根の暗そうな子だった。そして実際に暗いから見た目通りだ。前髪は切りそろえてあるんだけど目元を陰鬱に隠してるし、黒髪もコシがあって強いんだけど蛇みたいにうねってる。これじゃあ蛇女だよ。ハッフルパフの穴熊が泣きそうな子だ。もういっそのことスリザリンに来ればどうにかなったかもしれないのに。


「貴女、鈴緒・小早川?――私を笑いに来たのね?! 貴女も私のことを陰険なデブのマートルって考えてるんでしょ、そうでしょ、そうに決まってるわ!」


 図書館なのに。マダムの目が怖いから声を落として欲しいのに。


「貴女もあいつらと一緒なのよ。私が死ねば良いと思ってるんだわ。暗くてノロマのマートルなんて、さっさと死ねとか思ってるのよ」


 私は本棚に本を収めた。こういう類とは付き合わないのに限る――反論すればするだけ激昂するだろうからね。全部を戻し、その場を離れようと背を向けた。ら。


「貴女、ここに泣いてる人がいるのよ? どうして慰めないの?!」


 マートルに怒られた。ごめんなさい?


「え? いやだって、何を言っても無駄そうに思えたから?」

「性格が悪いのね、貴女。とっても正直だわ。私と似てる」


 に、似てるか?! 衝撃を受けてる私に、マートルは涙の跡を拭って顔を上げた。造作はそんな悪くないんだよね、マートルって。――じゃなくて。








「私、貴女の顔は気に入らないけど貴女の性格は気に入ったわ。友達になりましょ。貴女も友達いないでしょ」


 最近付き合いが悪いリドルンへ。私、性格の悪い友人ができましたよ。凄く一方的な宣言なんだけどね!


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