「ねえアブラカタブラ。このレイノ・ホグワーツについて純血の家系にしか伝わってない話とかってある?」


 本を数冊抱えて寮に帰れば、運の良いことにリドルとアブラカタブラが一緒にいた。他人に聞かれて困ることでもなし、談話室の机に本を乗せる。紅茶を淹れようとしたらリドルが代わってくれた。紳士の国!


「レイノ・ホグワーツですか?」

「あー、この場所では敬語無しで」


 純血一家の跡取り息子に敬語使わせる女なんて噂が広まったら、顔を隠して廊下を歩かなきゃならんくなる。お天道様の下を堂々と歩きたいので止めてください。


「分かり――分かった。知っての通り、レイノ・ホグワーツはお前と同じに不死者だ」


 ああ、私だって証拠がまた出てきたよ。てか、そんな情報まで伝わってるのか。人権はどこに行った。


「この学校のそれぞれの寮を立てた四人を集め、導いた者だと言われている。その知識の深さと魔力の強大さから、純血の家では娘にレイノと名付けることが度々ある。名前にあやかりたいということからだな」


 え、じゃあセブが私にレイノって名付けたのって。


「初代校長であったとかいう話もあるが、校長室にレイノ・ホグワーツの肖像画はないから眉唾だ。他には――ううん、これを言ってはイメージが崩れるが、根っからの快楽主義者であったとか、頭がおかしかったとか」


 私だよな。ていうか失礼な奴らだ。快楽主義者なんかじゃないぞ、私は! 理想を追い求め続けるランナーと呼んでくれ。そのうちランナーズハイになって脳内麻薬が大量に分泌されるけど。ゼイ、ゼイ、ヒャハー☆ たぁのしーなー! みたいな。


「そう、有難う。だいぶん分かったよ」


 後世まで伝わる話は、伝わるもんなんだな。ちょっとばかしムカつく表現があったけど、まあ目をつぶってやっても良い範囲内だ。


「同じ不死者だ、何か参考になれば良いんだが」

「まあ、同じって言や同じなんだけどね」


 同じ人物だから、参考って言うか、ねえ?


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