図書室で調べ物をするからと言って、パンとサラダだけ食べる。リドルが油と濃いソースの塊を食わせようとしたから振り切って逃げた。そんなもん食えん!


「ほ、ほ、ほ、ほぐわーつっ」


 自作の校歌を披露しながら図書室に走り込む。マダム・ピンスに睨まれたけど気づいてないふりをして棚の陰に隠れた。

 さてさて。今日はまだ授業もないし、調べる時間はたっぷりある。何を調べるかってぇと、蛇足の兄ちゃんが言ったことについて情報を得るためだ。



『あんたは四つの世代を知る』




 兄ちゃんは確かにこう言った。中の二つはアレだ、子世代とリドル世代だろう。じゃあ残りの二つはどこか? 創設者世代か親世代だとしか思えん。思い切ってジジイが学生な時代とかもありかも知れんが私は嫌だ。なんでジジイと机を並べにゃならんのだ。孫世代――も、なしの方向で。子世代の延長線上的な時代だもんなぁ。

 とりあえず『今』より昔のことならホグワーツの歴史に書いてあるだろうし、卒業者名簿の写真とかに写ってる可能性がある。重たくて分厚い本を引きずりだして、比較的図書室内でも明るい席に座った。

 本の劣化を防ぐためとはいえこんな薄暗い中で小さい文字追ってたら目が悪くなるよ。


「そういや、ホグワーツの歴史は面倒だから敬遠してたよな」


 無駄に長い、似た名前が多い、誰とかがニワトコの杖を奪っただの、誰とかが透明マントをゲットしただの。超面倒い。名前覚える意味あるの? ないだろ? 教養かもしれんが実生活に不要だろ。そんな役に立たないことより魔法を覚えたかったし。







「……」


 ウィキウィキで読む限り、ホグワーツを建てたのは四人のはずだ。でも何で覚えがありすぎる名前が載ってんだ。ゴドリック・グリフィンドール、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクロー、サラザール・スリザリン、そして――



『レイノ・ホグワーツ』




 どう考えたって私だ。小さく肖像画が入ってるんだけど、その絵の女が「キラ☆」のポーズをした。――私だ。この時代で星○飛行の振り付けを踊るのは私くらいだろうし。



 レイノ・ホグワーツに関しての情報は少なく、ハシバミ色の瞳に燃える赤毛の女で、膨大な魔術の知識を持っていたとしか書かれてない。うむむ、これじゃあ創設者世代で私が何をするのかさっぱり分からん。自由にして良いってことかね、つまりは。情報に踊らされるなってことか? というか私がホグワーツと名乗ってるあたり、この学校を建てるのと色々関わってるよな。








 昼飯を食う気が起きなかったし食欲があったとしてもあの食事を目の前にすればすぐに失せることは確実だったから、昼を示す鐘が鳴ったのも気にせずホグワーツの歴史を読み進めた。私の名前だと思われるものはもう出てこなかった。良かった、ジジイ世代フラグは回避されたな。


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