私の荷物は少ない――一年の時一緒に時間を飛んできてくれたのは無生物だけだった。つまり、わが愛しの羽毛ちゃんはいない。ナルシッサさんに頂いた服は魔法でサイズを調節して使っているんだが、それ以外に服があるかと聞かれれば全くないと答える。着まわしてるのよ。


「ハア、羽毛が懐かしい」


 この時代に来てから、梟を買おうかと考えたこともある。でも、私の梟は羽毛だけだからと思ってしまって買えていない。あのモコモコで小さな羽毛に会いたいよ。

 荷造りを呪文で終え(最近、魔法省の目をかいくぐる方法を発見した。発見したってか、発明した。ビバ私!)、ベッドに腰掛ける。狭い室内に私のいた痕跡はほぼない。散らばっていた荷物はもう鞄の中で、小奇麗な宿の一室という姿を取り戻していた。


「明日か」


 明日、私は五年生になる。リドルは私より三十センチも高くなったし、親しい取り巻きに彼のもう一つの名を教えたりしている。私は教えてもらっていない――もしかしたら巻き込みたくないだなんて思っているのかも知れんが。

 『死の飛翔(ヴォルドゥモール)』、いやはや、全く良い性格をしてると思うね。


 そしてついでにあの事件は今年のはずだ。嘆きのマートル殺人事件。ウィキウィキ唱えればホラ簡単、教えて! インターネット☆

 自分が電波系な気がしてきた。どこの星の電波をキャッチしてるんだろう。M78星雲「光の国」か? 幸運の星か? それともムーンライトパワーだろうか。気にしないー気にしないー……好き好き好き好き好きっ好き☆


「現実逃避もここらへんにして」


 自分で言うのもなんだが、私ってイタい子かな……? き、気にしないー!


「明日はどうやってキングスクロス駅に行こうか」


 去年まではリドルと途中で待ち合わせてたんだけど、今年はリドルが身の上を大いに利用するというウルトラQ、じゃなかった、ウルトラCを使ってホグワーツに泊ってたからな。人界の土産でもやろうか。世俗と離れてさぞかし煩悩も消えたことだろうし、うむうむ、何か買っていこう。数少ない友人が仙人になんぞなったら、私はどーすれば良いんだ?









「今日は早じまいするかな」


 三日に一度は風呂に入る、ヨーロッパの中じゃあきれい好きってか風呂好きなイギリスだけど。私は我慢できん。バスタオルと垢すりを手に、部屋を出た。浴槽のある部屋を夕方だけ使わせてもらってるのだ。












 風呂場で○休さんとハイジのテーマ曲を歌って、後からトムに何の曲? と聞かれたから日本の代表的なアニメと答えておいた。魔法界だからか『アニメ』が何か分かってないみたいだった。ラーリラーリラリホー♪

 夕飯を食って、布団に潜りこんだ。明日が楽しみなよーな楽しみでないよーな、そんな微妙な気分がした。何でだろうな、変なの。


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