2 私は本を返しに図書館に寄っていたから、少しばかし昼食に遅れた。定位置を探せばリドルの隣がポッカリと空いている。私の席を取っててくれたんだろう。 「リドルンルン!」 気分としてはカ○ルンルンっぽく。どうせ将来的には魔法界のしつこいカビになるんだから、あながち間違いじゃないと思うんだ。 「なんだいその、リドルンルンって」 「日本の漫画のキャラクター『カビ○ンルン』みたいに呼んでみたんだよ。子供から大人までみんな知ってる」 カビを生やす、バイキ○マンの子分役として。 「ふうん」 リドルは目を丸くしただけだった。言及されたら「悪役だよ、下っ端の」と答えるつもりだったのに、面白くない。 席に尻を滑り込ませ、あまり楽しみとは言い難い昼食を摂る。外国のお菓子がだだ甘なのは濃い味付けに慣れてるからだろうな。ホーキーポーキーアイス(ニュージーランドのアイス。甘い。)を初めて食った時は砂糖の塊かと思ったし、私はハーゲンダッツも甘すぎて食えない子だから、外国料理がどんなに食いづらいか分るってもんだろう。 「鈴緒? 全然食べてないみたいだけど」 昨日は気力と根性で胃に流し込んだ私だけど、さすがに今日は胃が悲鳴を上げてて食えない。和食食べたい。お味噌汁が欲しい。白いご飯! 納豆! 焼き秋刀魚ぁ――! 今は秋だろう、秋なら秋刀魚だろう。紅茶を啜って水っ腹ってのはキツいものがあります。固形物が食べたい。特に和食が食べたい。おなか減ったおなか減った、イギリス料理不味い。 「おなか減った」 「なら食べなよ」 「無理」 「どうしてさ?」 私こそ聞きたいよ。どうしてその料理を、そんなに美味そうに食えるのか。私の表情から何か読み取ってくれたのか、リドルはお大事に、と言ってくれた。 それで腹が膨れたら飯はいらんよ。 この日の私の昼食と夕食は、紅茶と、ポテトサラダ――のみ。 明日の朝が待ち遠しい! カモン、パン! 次第にやせ細っていく私を見て、リドルが無理やり肉を食わせたのは別の話。 |