1 初めの授業は――地下の陰謀でも進んでいたのか、ダンブルドアの授業だった。幸先悪いな。 ダンブルドアは初めに出欠をとり、シャンデリアを鳩の群れに変えまた戻した。一つのものを複数のもの、それも命あるものに変える魔法は難解で、一年生がいきなり教えられて分かるようなものじゃない。 その後渡されたのはマッチ棒だった。習うより慣れろじゃよ、という言葉には私も賛成だけど、理論をもう少し書き取りさせても良いんじゃないかとも思うよ。 「木が金属に変わったら科学なんて必要じゃなくなると思うよ」 マッチ棒は木製で、針は金属製だ。錬金術だよねコレ。石ころを金塊に変えるようなもんだよね。 「そうだね」 「魔法で石を丸々太った豚ちゃんにしちゃえば食糧にも困らないし」 わざわざ餌を与えて育てる必要などなくなる、と思うのだが。 「それだと養殖もので美味しくなくなるんじゃない?」 「その可能性は考えてなかった」 「とりあえず、マッチ棒を針に変えなよ。何もしてないの君だけだよ」 「はーい」 リドルに注意されて渋々返事し、杖を振った。 「何これ」 「かぎ針」 「見れば分かるよ」 リドルが冷たいと思います。目の前の机の上には鈍く輝くかぎ針が鎮座まし、私はこれぞ真のかぎ針というべきものだと世界に発信できる自信があった。 「いや、父親が鉤鼻でね? つい、それを思い出しちゃったわけですよ。OK?」 「ふーん。で、普通の針にはしないの?」 「するよ、当然じゃないかはっはっは!」 私は空笑いしてもう一度杖を振り、今度こそまっすぐな針に変えた。 「ブラーメ! Miss.小早川が上手くやったようじゃ。スリザリンに五点加点。見るが良い、純銀製でまっすぐじゃ」 確か、男性に対しての賛辞がブラーボ、女性に対してがブラーメだったよな。記憶あやふやだけど。マンガからの知識だから無駄に覚えてら。 その日は私とリドルが十点ほど加点して終わった。 |