2 小部屋を離れ、ホールの端に寄った。ダンブルドアが口火を切る。 「君は入学許可証を持っておらんね?」 「ええ。でも、入学できるだけの素質を持ってる」 どう説得しようかだなんて、考えてるわけない。だってジジイだもん。 「親御さんはおるかね」 「いないよ」 実父はまだ生まれてないし、養父も卵以前だ。 「ふむ、では、わしが君の保護者になろう」 ジジイはこんなご時世のくせして、簡単に許可をだしてくれちゃった。――が。 「え、ヤダ」 あ、つい。やっちゃったゼ☆ 「あー、えーっと……」 目を丸くするジジイ。困った、どう言おうか。許可撤回されちゃかなわん。 「私に保護者はいらないよ。金に困れば働くし、杖があるから明日の命の不安はないだろうし」 でもとりあえず、入学させて欲しいんだ、と言えば、ジジ――ダンブルドアは不満そうに頷いた。 「孫ができるかと思ったんじゃがのう」 「ならジジイって呼んであげるよ」 いつもそう呼んでるんだけどね。 「斬新な呼び方じゃのう」 「そう言われたのは初めてだよ」 ジジイいつも嘆いてたじゃないか。ジジイなんて呼ばれて悲しいーって。未来の話だけど。 「名前は?」 「小早川鈴緒。こっち風に言えば鈴緒・小早川。日本人だよ」 「分かった、鈴緒。では部屋に戻りなさい。みんなと合流するのじゃ」 「了解」 私は部屋に戻るためジジイに背を向けたけど、ちょっと振り返って言った。 「ダンブルドア、許可出してくれて有難うね。だからちょっと教えてあげるよ。――今年の入学生の中に闇がいる」 瞠目するダンブルなドアを今度こそ振り返らずに、私は狭い小部屋に戻った。これでリドルの教育に気をつけてくれれば良いんだがね。まあ、私の知る限り未来に変わった様子はなかったんだけど。 |