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「この子に何を話したんですか? フィレンツェ、忘れてはいけない。我々は天に逆らわないと誓った。惑星の動きから、何が起こるか読みとったはずじゃないかね」


 ベインが唸るように言った。落ち着きがなく足は地面を蹴ってる。


「私はフィレンツェが最善と思う事をしたと信じている」


 ロナンが目を伏せて、くぐもった声で言った。まあ、私もフィレンツェを否定するつもりはないんだよね。だたもうちょっと良く考えましょうとは思ったけど。ハリー・ポッターのキャラクターはみんなどっか抜けてるってか考えなしだよねぇ。

 でもロナン君や、それは日和見って言わないか? つまり――何て言うのかな、全く賛成してる訳じゃないんだよ、でも僕は彼を信じてる、みたいな。


「最善! それが我々と何の関わりがあるんです? ケンタウルスは予言されたことにだけ関心を持てばそれで良い! 森の中でさまよう人間を追いかけてロバのように走り回るのは我々のすることではないでしょう!」


 これも極論だなぁ。保守派といえばそうなんだろーけど、片面しか見えてない意見だ。予言されたことに抗いたいと思う者を押しつぶすだけじゃ火種は燻り続けるよ。


「ベイン、あのユニコーンを見なかったのですか? 何故殺されたのか君には分からないのですか? それとも惑星がその秘密をきみには教えていないのですか? ベイン、僕はこの森に忍び寄るものに立ち向かう。そう、必要とあらば人間とも手を組む」


 お互いに怒って後ろ足で立ちあがって威嚇し合ったりする。ハリーが振り落とされそうだから背中の存在を思い出してあげてね。フィレンツェがくるりと振り返った。


「四を知る者――貴女はどう思いますか?」


 いきなり話しを向けられてお姉さんびっくりだ。四を識るって、どういうこと――ああ、四つの時代にいくからか。すっかり忘れてた。そういえば四つのうちの一つがどこなのかまだ分かってないんだよね。親世代なのかな? 調べまくったのなんて十何年も前の話だし、四つの時代なんて頭から抜け落ちてたよ。後で調べよう。


「好きにすれば良いんじゃない? ただ言わせてもらえば、フィレンツェは考え過ぎ、ベインは一つの考えに凝り固まりすぎ、ロナンはもう少し自分の意見ってもんを決めた方が良い」


 馬上――って言えば良いのか?――のハリーが私を不思議そうに見つめる。ケンタウルスとここまで仲良く、ってか意見まで求められてるなんて驚きだったんだろうな。だってハグリッドとケンタウルスの会話が成立してなかったのをハリーも見てたはずだし。


「そろそろ私は行くよ。ハリー、またね。フィレンツェ、ベイン、ロナン、じゃーね」


 これ以上巻き込まれるのはご免だ。私は獣耳には萌えても下半身が馬なのに萌えられるほどの強者じゃないもんね。私は返事を待たずにさっさと逃げて、冷たい布団に潜り込んだ。畜生ハグリッドめ、貴重な私の睡眠時間を返せ。


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