恋人編? 6
「分かった……3か月お前に一切触れない。それが誠にとって、俺の誠意に映るのなら、そうする。回数も誠の勉強に差し障りがないように抑えるようにする」
意外に殊勝な物言いに、オレは本気でできるのかと疑った。
「その代わり、3ヶ月後には正式にお前の恋人にしてくれ」
「……え」
俺は思わず嫌な声を出した。今まで陸は俺のことを恋人だと言い張ってきたが、何度も言うように俺は認めていない。
「俺を拒否するな。全部、俺にお前をくれ……ちゃんと俺を恋人だって認めてくれることが条件だ」
またまたハードルを上げてくる陸。
そもそもの始まりは一回だけ抱かせてくれだったはずなのに、どんどん条件を変えて、今度は恋人認定を強要してくる。
「3か月、俺の誠意を見せる。だから誠も、俺に見返りをくれ。もう分かっているだろう?俺から逃げられないことも、逃がす気がないことも。流されるんじゃなくて、正面から俺と向かい合ってくれ」
オレは墓穴を掘った気がした。
常に墓穴を掘っていると言っても過言ではないと真一に言われているが、今日はそれを理解できた。
藪から棒をつつきだしてしまったかもしれない。
オレは陸と向かい合ってはいなかっただろう。なんとなく、流されてというか、押し倒されて、そのうち飽きてくれることを祈っていたくらいだ。
未来のオレたち見ていたら、その可能性もひくそうだったが、オレが陸に敵うわけもないので、この状況に文句を言いつつも、なじんでいたわけだが。
「い、今までと何が違うわけ?」
「何もかも違うだろう?今までは身体しかくれていなかった。お前の心が欲しいんだ」
「あ、う……オレに心までホモになれってこと?」
いや、違うのは分かっているよ。陸が求めているのはそういうことじゃないって。
でも、ここは冗談にでもしておかないと、オレは一生、陸から逃げ出せなくなるかもしれない。まだ諦めていなかったのかとか、言われそうだけど、オレの心は常に巨乳とともにある。
「誠」
「ちょっと、考えさせて!な、なんか、お前重すぎるよ……いきなり」
「いきなりなんかじゃないだろ?俺が、どれだけお前のことを愛しているか、身をもって知っているはずだ。それでも3か月の時間をやる……その間に、俺の恋人になる覚悟をしておけ。拒絶は許さない」
誠意はいったいどこに行ったんだろう?
もともとはオレに対する誠意を見せろって話だったはずなのに、オレが陸の思いに対して誠意を見せる話にすり替わっていた。
しかも相変わらず、オレの意思が反映されない。
口で嫌がって体でも嫌がっているけど、セックスの相手をしているオレにこれ以上求めないで欲しい。
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