花の散り際が一番美しいと言うけれど、それは違うと思う。なぜなら弱りきった花は萎れてしまって醜い。私が思うに、花が一番美しく居られる瞬間は、
――私は昨日、新撰組に入隊した。攘夷志士として戦争に参加した私はそれなりに技術もあるつもりだ。初の女隊士と言うことで色々と準備せねばならないことがあったのだけど、それは仕方の無い事だ。局長も温かく迎え入れてくれたし、今のところ不備はない。ただ一つ挙げるとすれば、私はこれからずっと、恐らく死ぬまで攘夷志士であったことを隠し通さねばならないことだろう。一昨日まではまったく逆の立場にいたのだから。

「ねえ、高杉。あたし高杉にもう一度逢いたいよ」

桂ほど名の知れた攘夷志士ではないし、銀時ほど技量があるわけでもない私は、今まで通り生きていたらきっともう高杉に逢う事はなかっただろう。だから新撰組に入隊した。仕事と名付けて、高杉と関われる。きっと次高杉に逢ったら、美しく咲ける。

「私、鬼兵隊に入りたいの」
「お前はダメだ」
「どうして」
「お前は陽の当たる場所に生きてるほうが似合ってる」

そう、たとえば蒲公英のように。だから私は蒲公英が嫌いだ。蒲公英は花弁を落とさない。花が一番美しい瞬間は、誰かに花弁を落とされる瞬間だと私は思うから。

もしも私が
花弁が儚く散ってしまうように
私も儚く終わりたい。

100419
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企画明日さんに提出
題字は「儚い命」
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