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11月4日午前10時、都内某所にてベイカーストリート・エンタテイメント株式会社により記者会見が行われた。
事前にファックスにより知らされていたのは、「永香の今後の活動について」とのことであり、事件の渦中にある永香(17)が出てくるかと思われたが報道陣の前に姿を現したのは、マネージャーの毛呂氏のみであった。
以下、毛呂氏より発表された内容について記す。
「永香の今後の活動につきまして、無期限の活動停止とさせていただくことをここに発表いたします」
「皆様ご存知かとは思いますが、このところ永香へ心無いメッセージが届くようになり、その対応に追われておりました」
「弊社としましても一丸となり永香を支えるべく努めてまいりましたが、至らずこのように苦渋の決断をせざるを得なくなったことは、大変悔しく、また残念でなりません」
「しかし、真に反省をすべきは卑劣な手段を取った犯人です。万が一、この度のことが永香へ、あるいは本ジャンルへの愛情の裏返しだという云い訳が成り立つとしても、愛情があるからといって人を傷つけて良い理由にはならないでしょう」
「誠に遺憾であり、今後このような被害が出ないことを切に祈るばかりです」
Q 無期限での活動休止とのことですが、復帰の可能性もあるのでしょうか?
A 未定です。現時点ではなんとも申し上げられません。ただ、活動休止措置が一ヶ月や二か月という話でないことはたしかです。
Q 永香さんは出てこられないのでしょうか?
A 恐怖や不安がだいぶ大きく、人前に出ることができません。
創作については、永香自身続けたいという思いはあるようですが、心身共に疲弊していることが明らかであったため、事務所としてこれ以上の活動は困難と判断いたしました。
Q では、事務所が永香さんに活動をやめさせたということでしょうか?
A そのように捉えていただいて構いません。彼女の作品を楽しみにしていた善良なファンの皆様には楽しみを奪ってしまい申し訳ないですが、犯人の行動がそれだけ卑劣であったということを覚えていただきたく存じます。
なお、事務所としての判断であることを念頭に置いていただき、永香個人へのお問い合わせ等はくれぐれもお控えください。
毛呂氏は硬い表情、厳しい声のまま会見を終えた。
忠告にも拘わらず永香へ突撃取材を決行した同業他社もいたそうだが、事務所との間で訴訟が行われるという。
「好き」という気持ちが暴走するあまり、一人の書き手をここまで追い詰め苦しめる事態にまで発展してしまったのだろうか。
私もこのように記者として事件を取材し、記事に起こす時、物事を文字だけの世界で捉えてしまいそうになる。だが、すべての文字の向こう側には人間がいるのだ。
なんでもかんでも感じたこと、自分の想いをぶつけていいわけではない。
そのことを忘れず、単なる文字ではない「人のこと」を書き続けられる人間でありたいと感じた。
(2018.11.10 文責:matane )