【寒天問屋】


看病



 和助が感冒にかかった。番頭はせっせと看病に励んだ。

「旦さん。白湯と薬、此処に置いときますな。飲めるようやったら」
「云わんこっちゃないなと思っとるやろ」
「……ええ。まあ」

 和助が体を起こそうとするのを、善次郎は手伝った。

「歳にはかなわんなぁ」

「そんなこと云わんといてぇや」善次郎は目を背けた。「今回旦さんが倒れたんは――」






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