【寒天問屋】


エンディング10



「松吉」善次郎は松吉に声をかけた。「――そう気を落とすな。他にやり方があるかもしらんし」

「番頭はんっ」松吉は番頭に抱きついた。

「――え?」
「わて。わて! いとさんにもフラれてしもたんだす」
「ああ、男らしない云われとったな……って離さんかい」
「松葉屋のとうはんも」
「嫁ぎはったな」
「梅吉もあんな――うっ」
「……せやから半兵衛はんで手ェうっとけ云うたやろ。あのお人の養子になっとったら食いっぱぐれはないから」

 松吉はかぶりを振った。

「わてには番頭はんしか居らんのや」
「いや、旦さんも居るやろ。ちょっとお母ちゃん立ち位置やけど、お里はんのスリーサイズ知らんのか? 筆くらいおろさせて貰といで」
「番頭はんが自分の能力値下げすぎたせいや。こっちは師弟ルートだす」
「よ、よさんかい。百歩譲って逆やろ! 脱がすな! おい!」

 その後は跡継ぎがいないため和助は長生きし、番頭に操を立てた真面目な松吉のせいで、井川屋は二代限りとなったそうな。


めでたしめでたし

ツバメ





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