【寒天問屋】


エンディング07



 桜花堂の奉公人を数名引き連れて、松吉が帰ってきた。

 和助と善次郎は顔を見合せ、ふっと笑った。松吉も面をあげるとほくそ笑んだ。

「餡の秘密がわかりました。これで究極の寒天もとい羊羮がつくれまっせ。旦さん、番頭さん!」
「松吉。そちも悪よのう」
「旦さんほどではありません」
「悪い商人になってしもたなあ。ま。銀二貫貯まったし」
「とってつけたような天満信仰では、やはり逝ける極楽も限られてきますわな――旦さん、それ寄進する気だすか」

 善次郎の言い分に和助は首を捻った。

「これは神さんに対する賄賂や思て、渡さなアカンという気がするんや。それが道踏み外した人間の、せめてもの良心というやつやで……」
「もうちょい真面目に働くルートがあったはずでっからな。来世に期待しましょうや!」

※その後、井川屋は関西連合会井川組として名を馳せたそうな。


めでたしめでたし

メジロ





data main top
×