はしがき
友人が小説の書き方を昔公開してまして、かなり参考になったんですね。いつぞやこっそり紹介したと思うけど。

今は公開されていないようなので、自分で書いてみようと思い立ちました。携帯二次書き散らし小説以上のものは期待しないでね。読むのと書くのじゃ全然違うので。

どちらかといえば文章批評より。偉そう。私もいろいろ調べて試行錯誤した故の結論なので、ご意見などはご遠慮ください。気をつけてる点とか書いてる。

かなりまずい文章な自覚はあるので本当に独学で申し訳ないけど、これを読んだ方が自作の書き方を紹介してくださることを祈ります。参考程度に読んでやってください。
-- 2015/06/05

まず、書いてみる
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非常に読みやすく基礎的なことが書かれています。ただしある程度の読書家でないと、ここに書かれていること自体が理解できない可能性も。中高年向きに時代小説の引用が多いので、私も半分くらいしかわかりませんでした。

読み手が大人を対象としたものである場合の文章読本ですので、一般同人的にはおそらく必要ありません。端にも棒にも引っかからぬ駄文を延々と書いている自覚がある場合に読むとよいかも。つまり今の管理人には最適でした。
-- 2014/07/07

道具
まず書き方以前に、道具は自分が使いやすいものを選びましょう。

私は現在携帯打ちですが、実は創作自体の経歴はそれなりに長いです。小説としての形ではなく、何かしらのアイディアを五年ほどノートに書き記してました。

小説にしてみようと思ったのはここが初めてですが、ものすごいアナログ人間だったため、初めはとにかく頭の中の文章がすぐには打てませんで。

余暇を見つけてノートに書く→打つ→推敲みたいな感じで一年過ごしました。今はパソコン世代ばかりなので、その心配はおそらくないですよね。

「アイディアは若い時にしか出ない。年を重ねたら書けるものが増えるからアイディアだけでも記せ」とよく言われますが、これは正しいと思います。
-- 2014/07/05

資料
テレビ見ない症候群、というのは結構危険です。私も一時期そういうことがありましたがたくさんのメディアに手をつけましょう。

本だけしか読まない時期も六年みっちりあったんですが、そういうときの文章はよく言えば達者、悪く言えば小難しい。

頭の中に住み着いてしまってる文章を先に追い出す作業が必要なんですが、これを小説内で直にやると色気もへったくそもないものになります。作者の声に聞こえるというやつです。

もっとも恐ろしいのが、本を読まない人の文章もすぐわかってしまうということ。これは小説に限ったことではなく、ブログなどでも同じです。

日常的に掲示板に入り浸ってるなとか、つぶやき文だなとか、特別な単語がなくても大体ふだん何を読んでるのかわかってしまうんですね。どれだけ達者な文章を模倣しようと、出てくるのは自分の頭の中の声だけなので。

私もここ数年はかなり偏食ぎみなので、日によっては言葉がまったく出てきません。語彙が圧倒的に不足しているのに、表現などしようったって無謀。同じパターンの繰り返しですから。

悲しいかなその時どういう類いの世界に漬かっていたか、自分で読み返すとすぐにわかります。表現したい世界に一致してないものとは、距離をおいたほうが無難です。

昔は携帯小説といったら一本やりで、文章の選びや間の取り方や同じ展開の連鎖と言われてましたよね。あれと同じ。同人にも原作寄り、パロディ寄り、それぞれ独特の息継ぎの仕方があるんです。

好みの問題なので好きな文章を読みまくるのが正解ですが、好きなサイトさまに日参しすぎると、どうなるか大体わかりますよね。文章はわりと簡単に移りやすいため、読書してすぐ書く作業に入るのはオススメできません。

サイト距離感が近すぎたり、大量に頻繁に更新される場所での隣同士の雰囲気が、まるで同じだったりするのはそういうことです。

オリジナリティを無くしやすい上に自分ではなかなか気づけないので、被ってきたなと思ったら意識的にそういう場所からは離れたほうが無難です。同人にオリジナリティも何もないわ、という場合はそれはそれで。

好きな文体は他のジャンルで見つけられるのが一番なんですが、似せたい場合以外は影響を受けすぎないように注意したほうがいいかもしれません。尊敬書き手の方が大抵おっしゃることですが、二番煎じはやはり二番煎じ以上にはなりませんので。
-- 2014/07/04

台詞
ホームズ側なら代表的なお手本の文章があると思うんですが、わかりますか?

クロッカスの一件ですね。

『まだらのひも』の人気は単に面白いからではなく、すべての文章読本にまさるお手本だからだと思います。ドイルは素晴らしい台詞のやり取りを数多く残した作家ですけど、クロッカスひとつであそこまで軽快なやり取りができると唸るしかない。

台詞というのは、ほとんど絶対といっていいほど返事をしてはいけません。


「ホームズくん」
「はい? なんでしょう」


↑これを多用するといきなり流れが止まります。書くことがないときは仕方ないですが、とにかく返事をさせないでください。返事の代わりを探すだけで人物の感情が少し出ますので、次の言葉も考えやすくなります。


「ホームズくん」
 彼は返事をしなかった。こちらをギラッとにらみつけた。


にらみつけた理由なら考えやすいですよね。不機嫌なわけですから。返事をするよりはよほど楽です。

他には

※台詞で説明しすぎてはならない(説明台詞)

※台詞で自己紹介してはならない(これは推理ものならやらせたほうが雰囲気が出ます。自己紹介文だらけですので)

※台詞を噛み合わせてキャッチボールしてはならない

などなど。一番下はどういうことかというと、


「ホームズくん、ハゲた?」
「はげたはげた。最近すっごくハゲた」
「そうなの。ぼくも実は禿げてきたんだ!」
「へぇ。奇遇だね! 仲良くやろうよ!」


社会ではこれができないとコミュニケーションが取れませんが、小説では絶対まずいです。

特に上のように感情を噛み合わせてしまうと、延々にこの状態が続き、終わりまでなんの変化もありません。変化のない小説などただの文章。ただの文章などもはや自分の日記です。

他にも結構基礎がありますが、だいたい上を気をつけるだけでかなり変化すると思います。

「語尾に変化をつける」「一人称で変化をつける」という一見簡単なかき分けがありますが、これは結構難解だったりします。いろいろ書いてみるのが面白いかも。
-- 2014/07/03

人物
注意書きが済んだところで書き方です。

特に決まりはありませんが、


@必要ないものは出さない(小道具等)

A喩えは説明しすぎない(説明のいる喩えは出さない)

B人物は必ず理由があって何かをする(首をかしげる、どこかを見る等)


この3つだけはなるべく徹底しましょう。これだけで全然印象が違うはずです。

Bに関してのみ少し言いたいことがありまして、理由があるから何かをしたんだけど、書いてるときはその何かがこっちにもわからない、ということが結構あります。

それがおそらく「人物が勝手に動いた」現象ではないかなぁと。かなり後になってから「実はこれこれこうなのよ、ほら、そこで物をひろったでしょ」なんて教えてくれたり。

できれば一から読み返す作業があるといいんですが、これをいちいちすると、手間と根気と自分の駄文に落ち込むというフルコンボが待っているので、あまりおすすめしません。

客観的に何度でも読めるタイプの方はおそらくプロ意識をもってらっしゃる。一般人の私たちには高度な作業ですから、諦めて他の方法を試しましょう。
-- 2014/07/03

物語
短編だろうと長編だろうと、何かしらの出来事が途中段階であるはずです。

ここをどこかの時点で考えておかないと、途中がグダグダになります。

もう何回もそういう話ばかりを書いてきたので、最後まで読んでもらえることが最近はすごく嬉しいんですが、自分で読むと誘導ばかりが目について苦笑しか出ません。赤面ものだね!

そしてこれはかなり重要なんですが、大抵の人は文章を書きすぎています。スティーブン・キングが言ってた法則なんですが、「やりたいものが文学でないなら情景描写は省け。興味があるのは田園風景についてではない、そこで行われる殺人事件だ」という。1割2割は必ず無駄である。無駄な文章を省くだけで、作品の面白さは何故か倍増するというものでして。

これは自分の文章で試すとよくわかります。一度完成品を解体してみてください。どれだけ短くなってもいいので、ぜひ試してみましょう。
-- 2014/07/02

文章
決まりはありませんが一つだけ。センテンスが長いと文章が意味をなしません。センテンスというのは区切りのことです。


短い茶髪の美しい男の子

短い、茶髪の美しい男の子

短い茶髪の、美しい男の子

短い茶髪の美しい、男の子

短い茶髪の美しい男の、子


あとはわかると思いますが、それぞれ更に分岐しています。


短い、茶髪の美しい男の、子


などなど。これは基礎中の基礎(どこで読んだか失念しましたが、原文は「長い黒髪の美しい女の子」)ですが、下手に句読点を打つと文章自体が破綻します。打たないと被害が減るかといえばそういうわけでもなく、読み手の息継ぎが苦しくなる。

あとはちょっとしたテクニック。よくある文章読本の「だった」で毎回終わるなということは、海外翻訳風(つまりホームズ同人)に限っては忘れてください。

英語というのはほとんどが過去系でできており、「だった」で終わるものが八割を越えるんですね。なぜか。ですので、これを繰り返すと逆にそれっぽくなります。さすがに毎回はまずいですが。

あとは短文を多用している作家(代表的なのが北方謙三)など読んでみればわかるように、アクションシーンなどは短文の連発でいくとスピードが出ます。

句読点の打ち場所を変えるだけでかなり変化しますので、つい長い文章を打ってしまう人は試してください。
-- 2014/07/01

NoTitle
二次創作で「書けないわ……」となったとき、「原作読んできます」と大抵なります。この文章はジャンル問わずよく見かけます。一度これを言ったらなかなか帰ってきません。私の経験で言いますと、読んでるんじゃないんです。もう違うことに興味が移ってる。

原作読んでも、先が出ないものは出ないと思います。もう熱がそこまで持てないんですよね。サイト運営者は嫌なことの一つや二つ抱えてますから、それが原因で原作まで嫌いになったりもする。ここが難しいところで、訪問者にそんなことは言えませんしね。

それより書くこと自体への熱を取り戻すほうが早いと思うんです。個人的には。「それがないから困るんじゃない」って話なんですが、書けないからといって何も世界が滅亡するわけではない。次の方法を試しましょう。


@関連作品の他メディアを利用する(映画や漫画や児童書など、楽なものがいいです)

A関連作品に似た作品(時代とかジャンルとか)をたくさん気軽に楽しむ

Bあきらめて他の作品をがんばる(別ジャンルでも読んでくださる人こそ大事にしてください。個人的には好きな文章の人はどのジャンルでも面白いし、そのサイトに入り浸るのは総合して好きな何かがあるから)

C日常ブログなどで何かを語る(ジャンルとは真逆のことがいいです)


個人的にやってはいけないのは
@同ジャンルの好きサイトに入り浸る

読むのは簡単なことなので満足してしまう危険性があります。

A萌え語りに集中する

書けないときにこれをやると、更に書けなくなります。下手すると先にどこかで書かれてしまいますから(別枠で語っていますが、盗まれたくない発想はネット上で語ってはダメです)萌え語りはほどほどに。

-- 2014/06/08

発酵
文章は一定期間寝かせることが絶対に必要です。これを理解できたのは二年が過ぎてからでした。

ブログやここのように書いたものを推敲なしに出すと、勢いはありますが重みが出ません。かなり軽い。軽いものが書きたい場合はいいんですが、深いことを書きたいなら推敲はどんな短文にも必須です。

これは機械世代に入ってしまった限り難しいと思いますが、パッ、パッ、と打ち慣れた文は、やはり同じ速度で読みとばされてしまいます。書き慣れている人は何書いても読ませる技術を持っているので問題ありませんが、趣味の域で時間も限られている場合、慌てて発表せず必ず一定の時間をかけましょう。

全編通して言いたいことを明確にできない場合(えろでも同じですよ)どの作品を読んでも同じ印象を与えてしまったり、字数だけ増えればいいかというボヤッとしたものになりやすいんですね。そのほとんどが「寝かせる」時間が足りないからじゃないかなって。

この点で悩んだら試しに倉庫文など推敲してみてください。絶対いつもよりいいものが書けると思います。

本来目指すべきは量ではなく質。でも質の前に数を書かないと上達など不可能。最初はあまり考えすぎずたくさん打ってみて、迷いが出たら一文に想いをこめると続きが出やすくなるよ。
-- 2014/06/08

大江健三郎
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純文学を学んでる方は必ず大江健三郎の書き方の本を読みましょう。いかに一人称が難しく、三人称が楽ではあるが安易に使うと一向に進歩がなくなる点について書かれています。

試しに自作で書いた三人称を一人称に書き替えてみてください。逆はいくらでも可能ですが、一人称だと見てはいけない、見られない場所ができるはず。これはかなり面白い本です。オススメ。
-- 2014/06/08

小説作法
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→映画目録のグリーンマイル項目に感想は移しました。
-- 2014/06/06

大沢在昌
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かなり手厳しい意見が書かれていまして、立ち読みで済ませてきましたが買いました。オススメです。基礎的な面も楽しい。職業意識がものすごく高い本です。一般的には必要ないと思います。でも読み物としてはかなり面白かったのでオススメ。

ただし作者の作品がめちゃくちゃ好きな方はやめといたほうが無難。よくあることですが、作者の素顔を知るとどんな傑作も冷めたりします。私自身はどんな作家先生もキャラ的に見てるので、余計にファンになりました。
-- 2014/06/06

文章読本
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最近亡くなられましたが素晴らしい評論を書かれる方でした。これ一冊でかなりの価値がある。若干専門的なので、本好きさんにオススメです。
-- 2014/06/06

できそこない博物館
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ショートショートの名手による、蔵出し文です。書き方の参考というよりは、アイディアの出しかたが面白い。ティッシュ箱(だったかな)にメモを投げ込むとか。読みものとしても一流なのは当たり前ですが、この一冊で星新一の頭の中身が覗き見れる、かなり貴重な本。奇想天外で楽しい。
-- 2014/06/06

シナリオの基礎知識
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映像化することを目的として書かれるシナリオという特殊ジャンルを解剖する本です。

読みものとしてもかなり面白く、とにかくこのメソッド通りに一個一個こなすと、少なくともネタギレを防げます。

同作者の実践本もありますが、この一冊でだいたい『物語の構成』のすべてが理解できると思います。とにかくこれが基礎知識。ジャンル関わらず大事なことがまとめられているので、創作に熱心な方は絶対持っておいて損はありません。これ一冊だけでも充分です。

ただしどんな知識もそうですが、知ってるだけでは身につかない。実践しながらアンチョコできる。便利ですね。
-- 2014/06/06

欲望
面白くないな……退屈だな、と思うときは、人物にたいてい「欲望」がありません。

「目的」はあるんですが(これが書きたい話なわけですので)、「欲望」がないために単調になってしまっている。私はこれを一番やらかします。途中まで人物の感情が全く引き出せないことがあるので。

人物たちは、何かを感じているわけです。語り手であるワトソンなどは小説のなかでは絶対感情を見せませんが(これがドイルのすごいところ。徹底してるんです)、もちろん結末を知ってるわけですから何も感じてないはずはない。

一人称が小説最大の難関といったのは大江健三郎でした。

これは私も理論としては知っていたんですが。三人称ならいくらでも書けるはずのことが一人称では絶対書けないことに何度も遭遇したので、これは揺るがない事実だと思います。

一人称は語り手から見える世界しか書けないため、書いてはいけない側面があるわけです。

三人称は楽ができるから一人称で書け、という議題を守り続けてみた結果。楽ができるというのは嘘だけど、学べることは確かに多かったという印象。

できれば三人称で続けた上で、試してみてください。
-- 2014/06/05

続かない
続けることは確かに大事です。しかし日常は襲ってきます。仕事と違って、やらなくても誰も責めないことだから続かないこともあるでしょう。

続けられなくなったら今日からまたやればいいんです。「ずっと同じことやってる」ことが「続けている」こととは限らないと思うの。

「できるときにできるだけやる」でいい。一字打つとか。一本線を引くとか。仕事じゃないんだからね。「書きたい気持ちになったから」でいい。それさえできないときは見るとか読むとか聴くとか。これは本当に何も発信できないときの自分に言い聞かせてるんだけど。続けたい気持ちが空回りしちゃう時期があるのよね。どうしょうもない。そういうときは全く別のことやる。

よく完全に創作はおろか外へ発信すること自体が止まってしまう方を見かけますが、ボロボロでもグダグダでも短文でも、どこかで何かを書くのが一番です。別にサイトに上げなくていいんです。未送信に山ほど入れとけばいい。

お金もらってやってる人は別として、途中放棄したらいけない法律などないんですから、どこかでは書きましょう。ブログでもSNSでも日記でもなんでもいいと思う。日本人は書く行為自体が好きな人種だから、やればやるほど楽しくなってくるよ。
-- 2014/04/08

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