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 身重のドイル夫人を置いていくことで話しはついた。仲直りのその夜には二人の夫婦は大いに盛り上がり、すでに二人目の子供がお腹にできあがっていたのだ。

「お体を大事になさってください」ホームズは千里眼を発揮していった。「子供たちのことは知性の塊である私にまかせて……」

「ワトソン博士。頼りにしていますわ」ホームズは無視された。「必ずや夫を死の滝壺から生還させてくださいませ」

 ワトソンはデニスを受け取り、うなずいた。「私には正直この状況がまったく飲み込めていないのですが、全力を尽くすとお約束します」

「パパを守ってくれるよ。だってワトソン博士はね、ワトソン博士は」デニスは言葉を選んだ。

「パパのことがとっても好きなの。初めて会ったとき、ぼくにはよくわかっていたの」

 ワトソンはなぜか胸が熱くなった。その感情は初めて知るものだった。

「――デニス」

「おしゃぶりは持ったわね」メアリーがいった。「炭酸製造機はもう要らないわ。変えては駄目よ」

「おむつを変えようか」キングズリーがいった。「立ちションに憧れる気持ちはわかるがね、デニス。まだたっちも体の構造上出来ないのだから、諦めるんだ」

「何も兄弟揃って来なくてもいいだろう……」ホームズは仲間はずれにされたことに悔しさを滲ませていた。

 そして一行は医者を先頭に、姉、兄、弟――おまけの探偵――を従えて、あの使いふるされた最終ダンジョンへと歩を進めることになった。

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