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 紹介された男はシャーロック・ホームズと名のった。頭が大きく、大男のドイルと背が並ぶほど大きい。幅はなく薄っぺらいが、すこぶる印象的である。

 彼は私と握手してから、赤ん坊を抱き上げた。

「やあジェームズ」

 ドイルが首を振った。「ジェームズという名前は母に却下されました。ミスター・レッキーは歓迎してくれたのだが」

「パック」

「それも駄目で」

「……パーシー?」

「同じ名前の従兄弟がいるからそっちは嫌なの。ちがうよ、ちがうよ!」

 ホームズは薄い唇の端を引き上げて笑った。

「デニス・スチュアート。ちゃんと知っているさ。どっちの呼び方ならいいんだね」

「デニス!」

 ドイルはぎょっとした。「なぜその名前が最新版だとわかったんですか? どこから聞いたのだ」

「情報源はパパには教えてはならない。わかったな、デニス」

「はい、おじさん」赤ん坊は素直だった。

「シャーロックでいい。君や君の義理の兄弟たちは特別だ。よし、デニス。お母さんはどうした」

「パパに飽きて出ていったの。ぼくに嫌気がさしたんじゃないよ」息子はぐずりだした。「すぐ帰ってくると思う?」

「もちろん、すぐだとも。あんな上機嫌な彼女を私は見たことがないからね」

「嘘つき。シャーロックの嘘つき……!」

「嘘つきは君のパパだよ。おばあちゃんにはバレないように、手紙では何の問題もない風に書いているんだから」

「だからなぜうちの家庭事情を知っているのだ。ホームズさん」

 親子は二人してホームズに掴みかからんばかりに顔を寄せた。ホームズはいった。

「私を派遣したのがグランマだからさ――」

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