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 ドイルがローストした肉の塊を買ってきたとき、彼の息子はワトソン博士を馬にして部屋をぐるぐると回っていた。

「おかえり、ドイル君」

「……」ドイルはホロリときた。「この子が産まれてから、こんな光景は一度も見たことがない。ありがとう、ワトソン。彼を子供に戻してくれて」

「おじさん、そこじゃないよ。足跡はもっと丁寧に扱わなきゃ」

「すまんすまん。これが君の母上の足跡かね?」ワトソンは床に這いつくばった。

「ちがうよ! もう。このやり方を覚えたら奥さんのヘソクリの場所もわかるのにっ」

 ドイルは心のすき間風に堪えられず、荷物を机に置いて部屋の窓をしめた。

「パパ。足跡の写真撮って」

「――ガラス板が高いから駄目だといってるだろう」

「自慢の現像機材をおがくずに変えてもいいんだよ」

 息子の目は本気だった。

「わがままも大概にしなさい」ドイルは怖い顔をした。「私がめったに怒らないからといって、おまえの尻を叩かない保証はないんだぞ!」

「あひぃっ」

 赤ん坊はワトソンの尻を隠し持っていた鞭で叩いた。

 ドイルは両手をあげた。「わかったわかった。博士の背中から降りてからな……」

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