17
「さあベス。椅子に寝転んで」
長椅子とはそのためにあった。いつでも励める。床でもエンジョイできる。
ベスは不思議そうにしながらも従った。「お兄ちゃん。目が怖いわ」
「鋭利な刃物と呼んでくれ」
「とっても細いわ」
「下はそうでもないよ」ホームズは脇を向いてくっと笑った。「ワトソン博士の火掻き棒とは比べ物にならない」
「ズッキーニだったわよ」ベスはぽっと顔を赤らめた。「ワトソン博士って、とっても素敵な方ね」
これは聞き捨てならない。
「ど、どこがかね」
「だって。その」
もじもじとスカートの下にある細い脚を擦り合わせる。探偵の透視力はすさまじかった。
「濡れているのか!」
あらたな特殊能力は四女ができてから会得した。
「胸が熱いの。この三ヶ月、ワトソン博士と彼のズッキーニのことが頭から離れないの」妹は手を口元にやり、恥じらって顔をそむけた。
「暖炉の火種は消したはずだ……なんたることだ……」ホームズは脱がしかけていた妹のオベベを着せた。
「お兄ちゃん。どうしよう。ワトソン博士はまだ既婚者よ」
「うむ……」ホームズはがっかりしたが、冷静さを取り戻した。「問題はそれだけではない。おまえも気づいているだろうが、ワトソン博士は赤毛同盟に入るつもりなのだ」
いや、それほど冷静ではなかった。
「赤毛連盟よ、お兄ちゃん」
こちらはさらに、どうでもよかった。
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