06
妹たちはそれぞれマーガレット、ジョセフィーン、エリザベス、エイミーと名乗った。
ワトソンは首を捻った。
「それってひょっとしてオルコット女史の……」
「母親がファンでね。長女が生まれたときに即決したのだ。マーガレットはメグ、ジョセフィーンはジョー、エリザベスはベスと呼んでいるよ」
「アメリカン素晴らしい。私はワトソン医学博士。傷病年金あり。妻は他界したことになってるけど、実はイギリスの法律上離婚もできなくて別居中。お兄さんとは腹心の友。お互い困ったときは財布の紐でかたく結ばれている。よろしくエイミー!」
「触んないでよ。この薄汚いブタ」
ワトソンの股間は時計台より高くつき上がった。「もっと言って」
「これはジョン・H・ワトソン博士といってだね、まあ名前も凡人だが中身もこれまた凡人という、特殊な意味でかなり非凡なひとなんだ」
「お兄さまの、彼氏。なのですか」
清楚な黒髪は大歓迎、とワトソンは思った。
「そう。いやいや馬鹿をいってはいけないよ、メグ」ホームズは通常では考えられないほど忍耐強く妹を扱った。「おませさんだね」
「男色関係にあるならヤードに通報する」次女のジョーはくるりと振り返り、扉から出ていこうとした。
しかし出しっぱなしのワトソンのお花畑を見て顔を真っ赤にし、いやっ、不潔っ! と両手で顔を隠した。気が合いそうだ。
「ホームズ。金髪もいいものだね。うん、私のオールド・ビッグベンがそう言ってる」
「股間の黒薔薇をむしりとって食わせてやるから、少し黙ってくれないかね。ワトソン」
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