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「僕は決して怪しい者では――あっ。ドイル嬢!」
「知り合いです」メアリーは集まってきた野次馬と教師たちを追い払うべく、毅然と立ち向かった。「彼は私の父方の遠い親戚で……」
「よくぞ言ってくれた。さあ放して。さっさと放して!」
ホームズは威張りくさった。シャーロックよりタチが悪いわ、とメアリーは嘆いた。
教師陣はなかなか立ち去ろうとしなかった。
「拳銃を持っていますぞ!」
「これは薬品? 硫酸や塩酸じゃないでしょうね」
「校内に入るおつもりなら事前に許可を取って――」
メアリーはそのやり取りを目にするうちに、急に脱力感を覚えた。なぜ自分のところにホームズが来たのかもわからない。手元に持っている手紙は、おそらく実家からくすねたものだろう。あれで学校を割り出したに違いない。
メアリーはあたふたしているホームズを尻目に、踵を返した。
「ごきげんよう。ホームズさん」
「き、君。待っ……!」
メアリーは意図せずして探偵の地雷を踏んだ。
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