03



「ひとつ。妹たちはまだ若い。色が白くて細くてはかなくて感じやすい年頃だ」

「サンドウィッチか……」

 ワトソンは物書きとしての本能で、意味深な言葉を吐いた。

「ふたつ。私と違って彼女たちは潔癖だ。下半身をさわる癖をなおせ、ワトソン」

 一度掻いた場所から手を離し、素直に言うことをきいて、スンスンとやり、臭いに悶絶して椅子の背に倒れる。

「みっつ。私は妹たちをとても愛している。今のところ一人も嫁に出す気がない」

「わかったよ、草食系レタスくん。君も混ぜてあげるとも。水っぽくてパリパリしてて剥いても剥いても芯もなければ栄養もない邪魔な存在だが」

「なんの話だ。皮ならズルムケだぞ。それに君と妹に挟まれて寝るのはごめんこうむる。よっつ」

「まだあるのか」

 ホームズはずずっと近づいた。「妹に手を出したら、君のか細い火掻き棒はロイロット博士のそれと同じ運命をたどる」

 それに対する反応は顕著だった。ワトソンはがくがくと震えだし、歯を鳴らしながらホームズの顔面を指さした。

「依頼人の逸物を、に、握ったことがあるのか? やらしい。不潔! この変態!」

「――ワトソン。ロイロット博士が誰か覚えているだろうね」

「誰だっけ。まとめて通報しよう」

 ホームズは片手で顔を隠しながら、もういいと指を振った。

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