02
「妹に会わせろだと? 冗談じゃない。待て。理由は言わなくていい」
「ホームズ! くすぶってうずく火の粉の音が聴こえないのか? 燃え盛る暖炉の中を、そう、私のこの……この……」
その先はなかった。荒い息づかいに反し、胸を押さえる仕草がいじらしく見えぬこともない。
ホームズは馬鹿の相手はとことん疲れるといった風情で続きをいった。
「ぐちゃぐちゃに掻き回したいんだろう。その細くて黒くてあるかないかもわからないようなもので。私のパイプ程度の長さもないくせによく言ったな。この性犯罪者。社会の汚染廃棄物。豚の睾丸!」
「もっと言って……」
「呪われたコカイン中どく――!」ホームズは咳払いした。「不毛な争いはよそう。妹たちには今朝電報を打った。紹介の前にいくつか注意事項がある」
「たち? ひとりじゃないのか」
選べないかも、二人とつき合えるかも、前と後ろで肉布団ごっこができるかも――という不安がワトソンの頭をよぎった。
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