19




そう、恥じらい。

俺はまだキスをするのも恥ずかしくてたまらないのに、悠斗くんは、そうでもなさそうだ。
これが慣れているっていうことなのか?

いや、別に、そんなことどうだっていいじゃないか。

「あ」

お客様に頼まれていた花束を作っていたら、指を切ってしまった。
ジンジンと痛む、それに、俺は、少しホッとしている。
変だよな。

「一紗、大丈夫!」

「え、平気、平気」

「……指もそうだけど、さっきから、元気ないですよ?」

「そ、そうか、いつも通りだと、おも」

思うと言いきる前に、真剣な悠斗くんの目を見て、俺は黙ってしまった。
まっすぐ俺のこと見てくれている悠斗くんに嘘を吐くのは、よくないなって。

何度も口を結んで俺は言葉を紡ぐ。

「……不安、なんだ」

「不安なんですか?」

「うん」




- 89 -


[*前] | [次#]
目次に戻る→


以下はナノ様の広告になります。
第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -