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「よかったの?」
「何がですか?」
花屋に向かう商店街を歩きながら、尋ねると、不思議そうに返事がくる。
「あ、ほら、女の子と一緒にいたのに、俺がきたから、ほら」
「ああ、大丈夫ですよ。絡まれていただけです。それに、俺は一紗と一緒にいたいし」
「………そ、そっか」
「照れています? 可愛い」
小声で囁くように悠斗くんは言う。
だから、余計に、俺はクラクラした。
「悠斗くん、俺、駄目になりそう」
「駄目になったら、俺が家に閉じ込めてあげますよ」
「また、そんなこと言って」
「ええ! 一紗なら、俺はどんな一紗でも手を離さないですよ?」
少し拗ねたように悠斗くんは言う。
俺は、まだ心に残っていた不安をその言葉で包み込んでなかったものにする。
「げ……店長、帰ってきてたんですか?」
「悠斗、お前な。この店は俺の土地だ。俺に会いたくないならお前が去れ」
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