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「……いや、気にしなくていい」

大学の帰り道、一人呟いた。
さっきまで幸せ一杯だった、俺の目の前で、悠斗くんが女の子に囲まれていた。

『でも、ちょっと慣れていないか、その子』

友達の言葉を思い出す。
なんで、こんなタイミングで思い出すんだろう。嫌だ。

『だって、お前、初恋なんだろ。その割に、そう、ちゃんと進展したのがすごいよな。初恋同士って案外、ほら、なよなよして上手くいかないんだから』

嫌だ。俺は悠斗くんのことを信じているのに。
今、悠斗くんが一緒に居る女の子だって、別に悠斗くんと……
いや、でも、悠斗くんは、やっぱり女の子の方がいいのかもしれない。
駄目だ。何、俺、一人で暗くなっているんだろう。
信じているのに。
俺のこと好きだって、優しく抱きしめてくれた悠斗くんのこと。

なのに、どうして、こんなに、も、
不安になるんだろう。

「あ、一紗!」

「え?」

俺に気がついたみたいで、悠斗くんは嬉しそうに、手を振っている。
俺も振り返す。すると、悠斗くんは女の子を振り払って、俺のところに走ってきた。女の子は寂しそうな、顔をしている。

俺は……




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