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……………ということで、俺と佐々木くん、じゃなくて、悠斗くんが、付き合うようになって、一週間がたった。
まだ、悠斗呼びに慣れない。
そして、悠斗くんに一紗って呼ばれるのに慣れない。
でも毎朝毎晩『愛してる』とわざわざ電話で言ってくれる、のは、慣れてしまった。
という惚気話を、ちょっと変換して大学の友達に話したら、大爆笑された。
ひどい、と思ったが、俺はそれくらいのことでめげないほどに幸せ一杯だった。
「まるで、男みたいな恋人だな」
「え…ああ、うん」
いろいろと話し方を間違えたと反省しながらも、俺はニコニコと笑う。
「でも、ちょっと慣れていないか、その子」
「え?」
「だって、お前、初恋なんだろ。その割に、そう、ちゃんと進展したのがすごいよな。初恋同士って案外、ほら、なよなよして上手くいかないんだから」
まるで自分のことのように、友人は悔しそうに言う。
悲しいことでもあったのだろうか。
「とりあえず、今度、またラーメン食べに行ってやるから!」
元気出せよ、と言ったら、友人は「じゃあ、充電」と言って俺を抱きしめた。
俺からは電気出てないんだけど…ま、いっか。
俺の幸せオーラ、少しならあげてもいいしな。
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