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「……!」
かああ、と顔が、全身が、赤くなっていくのを俺は感じた。そして、それさえも、気持ちいいと、感じてしまう。
「斉藤さんって結構、エロいんですね?」
ふわっと優しく、俺の背中を佐々木くんが撫でた。
「ん」
ただのそれだけのことなのに、俺はビクッと腰を突き出してしまう。
気付かれたくないのに。知られたくないのに。
「身体の方は、正直で、忠実。みたいですね」
「いや、だ。見るな…っ」
「何を、見たらいけないんですか?」
クスッと笑いながら佐々木くんはじっと俺の顔を見つめた。
「あ、でも、斉藤さんの表情、トロンとしていて、こっちもこっちで、あまり見ていられないかも」
「……っ」
「斉藤さん。ごめんなさい。ちょっと苛めたくなっただけだから」
怖がらないでいいよ、と佐々木くんは口にして、俺をそっと抱きしめてくれた。
なのに、俺は最低だ……
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