だって、ひどいじゃないか?
人の心をなんだと思っているんだ。
かき乱しといて、それが冗談でしたって、なんだよ。
それ、なんなんだよ。

「ふざけるな!」

俺は怒った。
こんなにも腹の底から怒ったのは、生まれて初めてだ。

「俺が、さっき、どんな気持ちで…っ」

「……ほら、だから、俺は、自分勝手だって言ったんですよ」

斉藤さんの気持ちも考えてないでしょう、と佐々木くんは言う。
いや、違う。
考えていないなら、本当に、考えていないならば……

「自分勝手な人が、どうしてそんな辛そうな顔するんだ?」

「え、俺は至って、いつも通り…え?」

ポロリと、佐々木くんの瞳から、涙がこぼれた。

「あれ?」

どうしたんだろう、と佐々木くんは頬を手で叩いている。
俺はしばらくそんな佐々木くんのことを見ていた。

「………きなんです、斉藤さん」

「え?」




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