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「いいんですか?」
「何が?」
「俺、斉藤さんのこと好きなんですよ?」
「え、ああ、俺も好きだよ?」
「……恋、しているんですよ?」
「さ、佐々木くん?」
切実な顔をして俺をじっと見つめている。
その瞳には、泣き出しそうな、俺の顔が映っている。
俺、嬉しいのか?
変だろう。男に好きだって言われて、恋しているって言われて。
嬉しいなんて、今まで一度も感じたことなんてなかったのに。
どうして?
「なんてね」
「は?」
「ごめんなさい。そんな泣きそうなくらい嫌がられるとは思わなくて」
冗談が過ぎましたね! と軽く、いつもみたいに、佐々木くんは言う。
俺はそれに対して、本格的に、泣いてしまう。
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