4
図星だという表情をされて、俺はニタニタと笑った。
「もしもさ、一紗が気持ちには答えられなかったら、もう傍にいられなくなるだろうし。あまりさ…」
わざと俺はいったん言葉を区切る。
次の言葉に全ての破壊力を使いたかった。
「駄目なこと考えるなよ、悠斗くん」
決して一紗には聞こえないように、そっと。
悠斗の心の奥をかき乱すように。
俺は笑う。
潰れてしまえばいい。
一紗に迷惑かける前に。
「そういえば、一紗、最近、大学は?」
「え、ああ、大丈夫です。ちゃんと通っていますよ」
「勉強はついていけているのか?」
一時期、花屋に籠るように、大学に行かなくなっていた一紗のことが心配で俺は聞いた。悠斗は、顔を青くしたまま、耳だけは大きくしてただ聞いている。
「はい」
ちゃんとついていけています、と何処かもじもじとして一紗は答える。
俺と、悠斗は、声をそろえてこう尋ねる。
「大学で何か変わったことでも?」
- 67 -
[*前] | [次#]
目次に戻る→
以下はナノ様の広告になります。