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ほら、一紗はこんなにもいい奴なんだ。
俺、はじめて見つけたんだよ、こんなにもいい奴。
守ってやらないと、と思う。
たとえ、それが歪んでいると言われても、俺は俺なりの方法で、守る。
君に近づこうとする男なんてみんな蹴り飛ばす勢いだ。
「それはそうと、悠斗くん、好きな子と上手くいっているんだって!」
俺は隣にいた、悠斗の肩を掴むと、明るく言う。
一紗は「そうなんだ」と呟いた。
「……いってますよ、順調ですよ。俺的には。貴方の出る幕はないし、貴方より、俺の方が!」
悠斗は声を荒げた。さっきの俺と一紗の会話で、ヤキモチでも焼いたのだろう。
面白い。自滅したらいいのに。
「俺の方が?」
俺はわざと続きを催促するような言葉を紡ぐ。悠斗は「いや…」なんでもないと言いたげに俯いた。
「俺の方が、何?」
「何でもないです!」
強気に返してきた悠斗くんの耳元で俺は一紗に聞こえないように言う。
「でも、あまりさ、一紗の近くに居すぎて、一紗から信頼されたころに好きだって告白したら酷いからな、悠斗」
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