２
俺の出した右手を掴むと、佐々木くんはそこに唇を落とした。
俺は驚いて固まった。
「痛みが引く、おまじない」
なんて、佐々木くんは真剣な顔をして、言う。
普段は可愛い顔をしているのに、こういう時、変に格好よくて、びっくりする。
「そ、そうなんだ…」
最近の高校生って、こういうこと平気でしちゃうのかなと、俺は考えながら、いちお、お礼は言って、右手を背中の後ろに引っ込めた。
照れくさくてしかたない。
「じゃあ、斉藤さん」
にっこりと笑って佐々木くんはまた手を出した。
「え？」
「次は左手」
「……だ、大丈夫だ」
俺はまた手のひらにキスをされるのが嫌でそう言った。
すると佐々木くんは寂しそうに俯いた。
「えっと、やっぱりお願いしようかな…」
おずおずと俺は佐々木くんに左手を差し出した。
何処か意地の悪い顔をして佐々木くんは笑う。
俺、恥ずかしいんだけど。
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